TAINS/Gの完成

東北大学情報シナジーセンター 水木敬明

1 はじめに

 東北大学では,1988年以来,総合情報ネットワークシステムTAINSが運用されています。この度,前号(TAINSニュース No.26)で紹介した次期TAINS[1]がついに完成しました。その名を「TAINS/G」といいます。1988年にTAINS88 が誕生し,その後 1995年にSuperTAINSの運用が開始され,そして 2001年12月28日にTAINS/Gが完成しました。TAINS/Gは,東北大学の第三世代のキャンパスネットワークといえます。TAINS/G は,GbE(Gigabit Ethernet)を基本としたネットワークで,キャンパス間を 8〜16Gbps で接続し,インハウスネットワークを 1Gbps で収容します(図1)。


図1:TAINS/Gの構成図

 TAINS/Gの詳細な設計の方針や構成の説明は,前号をご覧下さい[1]。本稿では,TAINS利用者の皆様に直接関係のある事項を中心にして,TAINS/Gの概要を紹介します。

2 運用方針

 TAINS利用者の各端末は,直接TAINSの幹線(「バックボーン」ともいいます。)に接続しているのではなく,所属部局等のネットワーク(以下では「インハウスネットワーク」と呼びます。)に接続しています。インハウスネットワークはインハウスルータを経て,TAINSの幹線に接続しています。現在,各インハウスネットワークは FDDI によりSuperTAINS(TAINS95)の幹線と接続しています。

 今回TAINS/Gが完成しましたが,これは「SuperTAINSがTAINS/Gに置き換わる」ということを意味するわけではありません。「SuperTAINSはそのままで,新しくTAINS/Gが誕生した」ということになります。したがって,今回のTAINS/Gの完成に伴い,各インハウスネットワークが自動的にTAINS/Gへ接続されるわけではありません。TAINS/Gを利用するためには,各部局等が自インハウスネットワークをSuperTAINSから切り離して,接続先をTAINS/Gへ変更する必要があります。

 インハウスネットワークとTAINS/Gの接続には,1000BASE-LXを用います(図2参照)。1000BASE-LX は長波長レーザーを用いる方式の GbEであり,光ファイバを使って 1Gbpsの速度で通信することができます。各部局等がインハウスネットワークをTAINS/Gに接続させるためには,各部局等が所有するインハウスルータに,1000BASE-LXを用意する必要があります。また,TAINS/Gでは,原則としてインハウスルータは,VLSM(*1) に対応し,RIP2で経路制御できる必要があります。


(*1) Variable Length Subnet Mask。可変長サブネットマスク。


図2:1000BASE-LX によるTAINS/Gへの接続

 ただし,現在 GbE対応のインハウスルータを既に有している部局等はそれほど多くないと思われますので,各部局等が速やかにTAINS/Gへ移行できるように,1000BASE-LXと10/100BASE-Tの変換を行うインハウスアダプタ(IA)装置を用意しています。このインハウスアダプタ装置を利用すれば,TAINS/Gの幹線に10/100BASE-Tで接続することが可能です(図3参照)。


図3:10/100BASE-TによるTAINS/Gへの接続

 以上をまとめますと,TAINS/Gに接続するためには,1000BASE-LXかあるいは10/100BASE-Tの空きポートを有するVLSM対応のルータを準備すればよいことになります。詳細なTAINS/Gへの移行の方法につきましては,本号に記事が掲載されていますので,そちらをご覧下さい。

 なお,これまでのSuperTAINSにおきましては,直接ワークステーション等の端末を幹線のFDDIネットワークへ接続することが可能でしたが,今回のTAINS/Gにおきましては,幹線はインハウスネットワークを収容するためのものと位置付けており,TAINS/Gの幹線へ接続できるのは部局等のゲートウェイとなるルータのみです。したがって,ワークステーション等の端末は,各部局等のインハウスネットワークへ接続するようにして下さい。

 利用者の皆様は,所属する部局等のインハウスネットワークがTAINS/Gへ移行することによって,はじめてTAINS/Gを利用できることになりますので,各部局等におかれましては,TAINS/Gへの速やかな移行をご検討いただきますようお願い申し上げます。また,SuperTAINSのネットワーク機器は,極めて老朽化が進んでおり,SuperTAINSを現状のまま今後も長期間にわたり運用していくのは非常に困難であります。以上のような理由により,SuperTAINSからTAINS/Gへの速やかな移行にご協力下さいますようよろしくお願い申し上げます。SuperTAINSの今後の運用方針につきましては,本号に記事が掲載されていますので,そちらも合せてご覧いただけると幸いです。

 TAINS/Gにおきましても,インハウスネットワークの管理につきましては,これまでと同じ運用管理内規が適用されますので,各インハウスネットワークの運用管理者の皆様におかれましては,これまで同様ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

3 おわりに

 TAINS/Gの導入にあたりましては,学内外の多くの皆様のご協力をいただきました。旧総合情報システム運用センター運営委員会および情報シナジーセンターネットワークシステム学内共同利用委員会の皆様には,TAINS/Gの設計・運用方針に関しまして,貴重なご助言をいただきました。TAINS整備仕様策定委員会およびTAINS仕様策定ワーキンググループの皆様には,長期間にわたりTAINS/Gの設計について検討していただきました。技術専門委員会およびTAINS整備ワーキンググループの皆様には,長期間にわたりTAINS/Gの運用方針について検討していただきました。広報専門委員会の皆様には,TAINS/Gの名称やロゴマークなどについて検討していただきました。その他たくさんの皆様のご協力なしには,今回のTAINS/Gの完成は有り得ませんでした。この場を借りて,心より厚く御礼申し上げます。また,TAINS/Gの導入・整備にあたりご尽力いただきました東日本電信電話株式会社宮城支店の皆様に深く感謝申し上げます。

参考文献

[1] 佐伯田鶴,次期TAINSの紹介,TAINSニュース,No.26,pp.5-10,2001. (http://www.tains.tohoku.ac.jp/news/index-j.html