ISTUにより配信される講義の受講生は,東北大学の正規学生であり,東北大学大学院生,もしくは科目等履修生となります。近い将来,修士号や博士号の取得も可能になる予定です。これにより,大学へ通うことができない社会人や遠隔地に住む人でも,無理なく専門知識を学ぶことができるようになります。また,通学生も,一部の単位をインターネット講義で取得するシステムも今後の検討課題となっています。つまり,東北大学で学ぼうとする者に対しては,それぞれの動機や学習事情に応じて,IT時代にふさわしい学習の機会を与えるということであります。
さらにISTUは,日本国内のみならず,全世界を視野に入れ,最先端の研究成果を世界に発信することとなっています。数年後には,全世界どこからでも東北大学の正規学生としてインターネット講義を受けることが可能になります。
また,大学と企業によるコンソーシアムづくりも推進し,研究成果の事業化にも積極的に取り組んでいきます。教育システムはインターネットがメインですが,全国各地にサテライトスクールを展開していく計画もあります。
さらに,この大学教育開放講座は,ISTUを通じた「ネット開放講座」として拡大します。ネット開放講座では,大学教育開放講座を収録し,これをインターネットを通じてオンラインでも受講できるようにするものです。単に収録映像を配信するだけでなく,講義内容の詳細をわかりやすく伝えるために,専用のシステムを独自開発しています。
世界には優れたオンライン教育の事例が数多くあります。しかし,多くは文章と静止画像がメインで,講義の臨場感やコミュニケーションに乏しい印象がありました。しかしながら,教官の表情や実験室の雰囲気など,テキストになりにくい情報も貴重な教育資源であり,これを学生に伝えることも重要な要素となります。
ISTUでの受講方法は,インターネットのブラウザからとなりますが,大講義室の熱のこもった講義や,ゼミでの白熱する討論の臨場感をそのままに伝えるために,動画をメインとした講義配信を行い,ブロードバンド時代の先導的教育事例を蓄積します。
ISTUでは,各科目のシラバスや学習コンテンツは,原則として担当教官が独自に開発します。これにより,各教官の研究内容や教育方針が色濃く反映するユニークなコンテンツがISTUの魅力のひとつとなります。加えて,ISTUは東北大学の文系,理工系,医学系全14研究科,研究所やセンター等の正規の大学院よりなります。単位や学位の認定も,各研究科や担当教官の個別の方針で行われます。研究科により,スクーリングやその他の授業などが
このような,ISTUによる魅力ある講義を提供するためには,あらゆる分野,専門領域の各教官ごとの教育手法をサポートし,質問や個別指導など,学習課程におけるコミュニケーションも,通常の授業と比べて
ISTUは,有職成人のさらなる学習,家庭の主婦等の生涯学習,さらには,遠隔地に住む学生の学習を前提とした教育システムを構築しています。家庭や職場から,働きながら学ぶには,強固な意志と周囲の協力が必要となりますが,何よりもシラバスや学習システムがそれに対応していなければなりません。ISTUは「いつでも」「どこでも」学習が可能な有職成人ばかりでなく,主婦や遠隔地に住む学生にも教育の門戸を開放します。また,東北大学に通学する大学院生も,一部の単位をインターネットで取得できるなど,ライフスタイルに応じた受講が可能になります。
いつでも,何度でも繰り返し受講が可能な「オンデマンド型」,小規模ゼミのように教官と学生が積極的に意見を交わせる「リアルタイム型」の2種類の講義配信方法を用意するとともに,インターネットを介した履修登録などオンラインでの履修管理システムなどを整備し,それぞれのライフスタイルに応じた学習ができるシステムを目指しています。
教育情報学研究部の方は,本年度開設された新しい大学院です。東北大学では,2002年に,教育情報学を専門分野とする新たな大学院である教育情報学研究部・教育部を開設しました。これについては広報 NO.210, 31 May, 2002, 「教育情報学教育部・教育情報学研究部の新設」を御参照ください。教育の専門家をコアに,認知科学,教育工学,情報工学,比較教育論など異分野のコラボレーションで,IT時代の教育手法の研究およびIT教育のスペシャリストを育成することが,その任務となっています。さらに,教育情報学研究部は,その研究成果として得られる教育情報学のノウハウに基づき,ISTUにおけるIT教育の支援を行っていくことになります。教育情報学研究部・教育部について詳しくは,またの機会にご紹介させて頂きたいと思います。
ISTU審議会に加え,技術面,IT教育面に関して情報シナジーセンターと協力し,我々教育情報学研究部が支援にあたることにより,全学のISTUの運営をより確固たるものとしたいと考えております。ISTUはIT時代に対応した新しい教育形態を開拓する試みであり,全学的な取り組みは国内はもちろん世界的にも類をみないものです。各先生方の今後の積極的なご参加をどうぞよろしくお願い申し上げます。