大学教育研究センターの無線LAN

大学教育研究センター 斎藤紘一
 今日,大学における教育・学習活動を進める上で,コンピュータや高速情報ネットワークの利用は不可欠になっております。平成14年度に一新された本学の全学教育カリキュラムでは,情報科目が全学生に必修となり,入学後の第1セメスタに「情報基礎A」(既習者向けには「情報基礎B」)が実施されています。この科目に関連する予・復習に限らず,種々の有用な情報の収集やメールによる情報交換へのインターネットの利用は,急速に増大しているようです。また,自ら調べ,発表し,討論することが強調される,少人数授業科目の「基礎ゼミ」も,14年度に完全実施の態勢(144コマ開講)となり,これについてもインターネットの利用が進んでいるようです。教職員及び学生が,何時でも,何処からでもインターネットへの接続ができるよう,情報環境の整備が急がれます。

 本学では,情報教育の学習効果を高めるために,情報シナジーセンターから1,2年生の全員にアカウントが交付され,情報シナジーセンターの実習室等に設置されている端末装置を利用できるようになっています。大学教育研究センターでは,これまで,川北合同研究棟内(20台)と附属図書館内(40台)に端末を設置してきましたが,その後の端末の増設は,設置場所の確保が困難な理由から進んでおりません。そこで,近年,ノート型パソコンを所有する学生が増加していることに着目し,使い慣れた自分のパソコンを持参し川内北キャンパス内で TAINS に接続できるようにネットワークを整備することで,インターネット利用の拡大を図ることになり,情報シナジーセンターの多大なご指導,ご協力のもとに,平成13年度教育研究共同プロジェクト経費(総長裁量経費)によって実現されました。


図1:ユーザ認証システム
 具体的には,大学教育研究センター講義棟(A〜C棟)の全教室に,ケーブル(100BASE-TX/10BASE-T 対応ケーブル)によってパソコンをネットワークに接続するためのアクセスポート(情報コンセント)を設置したほか,講義棟内外計10カ所に,無線LANアクセスポイントを設けました。また,ユーザーを確認するための認証ゲートウェイシステム,及びプロキシサーバ等の外部接続システムを構築しました(図1参照)。

 教室内に設置した情報コンセントは,もっぱら授業のために教官が使用するものであって,学生に開放されるのは,自習室内(16ポート)と談話室内(8ポート)のコンセントに限られます。無線LANアクセスポイントのアンテナは,B101,B104,B201,B204室に各1基,B200,自習室,談話室に各1基,さらに屋外用のアンテナが講義棟の外壁3カ所に設置されています。無線LANへの接続には,IEEE 802.11b規格に準拠した64または128ビットWEP機能を有し,Wi-Fi認定を受けているPCカードが使用できます。アクセスポイント(アンテナ)1基当たり,同時に15ユーザーが接続可能であることから,全アンテナでは150ユーザーがインターネットを利用できることになり,情報ネットワーク環境は,限られた数の端末を利用せざるを得なかった従来に比べて著しく改善されました。有線,無線を問わず,これらのシステムを利用してネットワークに接続するためには,認証が必要です。学生の場合は,情報シナジーセンターから配布されるユーザー名とパスワードによって認証されます。教官が利用する場合の,ユーザー名とバスワードの登録手続きの窓口は,全学教育室(全学教育教務掛)です。

 屋外のアンテナ設置は,授業の合間に木陰のベンチに腰を掛け,ノートパソコンからインターネットを利用するという,新しいキャンパスでの生活スタイルを生み出しています。屋外の無線LANサービスエリアは,おおよそ,川内北キャンパスの正門〜C棟前,掲示板付近〜厚生会館で囲まれる区域内,及びA棟とB棟の西側,川北合同研究棟前の道路までの部分です。