編集後記

■趣味でアマチュア無線の海外交信を楽しんでいます。インターネットで世界中 の人たちとリアルタイムかつ確実に会話ができるこのご時勢に,しかもネット ワークの研究をしている人が,なぜわざわざ不安定なHF帯を使って海外の仲間 たちと交信しようとするのか。私の周りの人には理解できないようですが,そ の不安定さになんとも言えない魅力を感じるのです。この不安定さは自然界の 現象と強くリンクしています。たとえば太陽活動と電波伝搬の関係。10月末の 巨大黒点出現の時も,非常にエキサイティングで神秘的な電波伝搬による交信 を経験することができました。経路とプロトコルを知っていれば伝播の様子が おおよそ理解できるインターネットの世界とは違った,大自然に制御パラメー タを握られた神秘の世界がそこにあります。
 本号ではいくつか無線LANの話題を取り上げましたが,使用される周波数帯は HF帯とはまったく異なるものの,有線網を飛び出して自然界を伝播する無線 LANに,技術的興味とは別の,なにかこうワクワクするものを感じずにはいら れません。

(N)

■発行が遅くなり,原稿をいただいていた執筆者の方々にはご迷惑をおかけしております。
 最近,「スローフード」という運動がなかなか元気なようです。ご存知のとおり,この運動は(期せずして)地球上の各地でほぼ同時に立ち上がったと聞きます。時代の必然なのか,ずいぶんスムーズに浸透していったように思えます。もちろんそこには,押しつけられたグローバル化への本能的な反発や,やみくもに受け入れてしまったことへの反省もあったかもしれません。いずれにしても食文化のみならず,食べ物を通して生活の基盤全体を見つめ直そうとしています。食べ物というありふれた話題から,環境や流通システムなどなかなか手ごわいモノを相手にしてそこそこ健闘しているのがあっぱれです。(個人的には狂信的でないところや押しつけのない(様に見える)所も気に入っています)
 何かと反省ばかりの今日この頃,反省ついでに食べ物を通して生活の中のリズムや質をちょっとだけ見直してみようと思っています。

(ch)