DNS 設定ガイド(一般利用者向け)

情報部情報基盤課ネットワーク係  森倫子
情報シナジーセンター 水木敬明


1 DNSとは

 本稿では,一般利用者の視点から見た,いわゆる“DNS の設定” を話題として取り上げます。具体的には,IP アドレス,ドメイン名およびDNS サーバについて概観したのち,TAINS 内でのDNS の設定をMicrosoftWindows XP を例に取って簡単に説明してゆきたいと思います。

1.1 IP アドレスとドメイン名

 ネットワーク(*1)につながるすべての機器(ホスト)は,割り振られたIP アドレスによって通信します。例えば,東北大学のWWW サーバのIP アドレスは130.34.15.80 です。この130.34.15.80 というIP アドレスは世界に一つしかなく,その一意性により世界中から東北大学のWWW サーバへアクセスすることができます。しかし,東北大学のWWW サーバにアクセスするために,いちいち130.34.15.80 のような4 つ数字の並んだ(32 ビットの)IP アドレスを記憶しておくことは( 私たち人間にとって)非常に大変です。すなわち,IP アドレスは人間にとって覚えにくく,扱いにくいものです。
 一方,「東北大学のWWW サーバにアクセスしたいのなら,www.tohoku.ac.jp に接続すれば良いのでは?」と読者の皆様はお思いになられることでしょう(*2)。まさにその通りでして,私たち人間は130.34.15.80のようなIP アドレスではなく,www.tohoku.ac.jp のようなドメイン名を日々の生活の中で使っています。そして,このような仕組みを提供してくれているのが本稿のテーマであるDNS(Domain Name System,ドメインネームシステム)なのです。ごく簡単に(一般利用者の視点から)言うと,このようなIP アドレスとドメイン名の変換をしてくれるのがDNS サーバ(ネームサーバ)(*3)です。

1.2 DNS サーバ

 前述のように,DNS サーバは,IP アドレスとドメイン名のいわば“橋渡し” をしてくれます。つまり,ドメイン名www.tohoku.ac.jp に対応するIP アドレスを知りたいときには,DNS サーバに問い合わせることで,130.34.15.80 という答えを得ることができます。実際には,私たち自身は特に何も意識することなく,お使いのPC(*4)が自動的にそのようなDNS の名前解決の問い合わせをDNS サーバに対して行っているのです。したがって,私たちは,DNS サーバのおかげでhttp://www.tohoku.ac.jp/ のウェブページを見たり,alice@ex.tohoku.ac.jp へ電子メールを送ったりすることができると言っても過言ではありません。
 ところで,ここで少し疑問がわいてくるかもしれません:
DNS サーバに聞けばドメイン名に対応するIP アドレスを教えてくれるので,いちいちIP アドレスを覚えておかなくて済むということは良いとしても,そのようにしてDNS サーバに問い合わせるためには,そのDNS サーバ自身のIP アドレスを知っておかないと,そもそもそのDNSサーバにアクセスできないのではないか?
実はこの疑問はとても真っ当で,皆様がお使いの各PC は,そのような問い合わせに使うDNS サーバのIPアドレスを知っています。すなわち,各PC には,DNS 名前解決に使用するためのDNS サーバが‘IP アドレス’ で設定されているはずです。
 とはいえ,「DNS サーバのIP アドレス? そんなの設定した記憶はないなぁ」と思われる読者の方も多いのではないでしょうか。実際には,多くのネットワーク環境下においては,DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) と呼ばれるプロトコルにより,DNS サーバのIP アドレスを自動的に取得できるようになっています。そのため,特に自分で設定しなくても,いつのまにか(?)お使いのPC は,名前解決に使用するためのDNS サーバのIP アドレスを知っているのです。
 お使いのPC に設定されているDNS サーバのIP アドレスが何であるかについて調べる方法を,WindowsXP を例に取って,3 節で述べます。その前に,2 節において,TAINS 内で利用できるDNS サーバを示しておきましょう。

2 TAINSで利用できるDNS サーバ

 TAINS の利用者は,以下のDNS サーバを(キャッシュサーバとして)利用することができます。  なお,ノートPC 等を自宅や出張先で別のネットワークに接続する場合には利用しないで下さい。その際は接続先(ISP 等)のDNS サーバをお使い下さい(*5)。

*お願い*
負荷分散のため,部局でDNS キャッシュサーバを運用している場合はそちらをご利用ください。その場合の設定は部局のDNS 管理者の指示に従って下さい。

 設定例を次の表1 に示します。
 1台目(優先DNS サーバ等)2台目(代替DNS サーバ等)
部局にDNS サーバが2 台ある場合部局のサーバ部局のサーバ
部局にDNS サーバが1 台ある場合部局のサーバ130.34.11.111 または
130.34.11.123
部局にDNS サーバがない場合130.34.11.111 または
130.34.11.123
130.34.11.111 または
130.34.11.123
表1: DNS サーバの設定例

3 Windows XP での設定確認

 お使いのPC のOS がMicrosoft Windows XP の場合,現在のDNS の設定がどうなっているかについては,以下の方法により確認することができます。
 まず,[スタート]メニューから[すべてのプログラム(P)],[アクセサリ],[コマンドプロンプト]の順に選択します(図1 参照)。


図1: コマンドプロンプトを立ち上げているところ

 その結果,図2 のようなコマンドプロンプトが立ち上がります。次に,プロンプトに「ipconfig /all」と入力し,エンターキーを押します。「ipconfig」と「/all」の間にスペースを入れるのを忘れないで下さい。

図2: コマンドプロンプトでのDNS サーバの確認

 そうしますと,数行にわたって文字列が表示されます。その中から「DNS Servers」と書かれている行を探しましょう。そこに記載されているIP アドレスが,今お使いのPC に設定されているDNS サーバのIP アドレスです(図2 参照)。この例では,表1 の2 番目の通り,優先DNS サーバを部局のサーバに,代替DNSサーバを130.34.11.123 にしてあります。
 もしここで意図していない( 不明な)DNS サーバが表示された場合(*6)には,次節において説明する手順により設定を変更することができます。
 コマンドプロンプトを終了させるには,プロンプトに「exit」を入力し,エンターキーを押して下さい。

4 Windows XP での設定例

 引き続きMicrosoft Windows XP を例に取り,DNS サーバの設定を行う方法を示します。なお,前述の通り,DHCP を利用している場合には,DNS に関する情報をDHCP サーバから自動的に取得できることが多く,その場合には以下の設定は不要です。

 [スタート]メニューから[コントロールパネル]を開き,[ ネットワークとインターネット接続]を選択します。

図3-1: [ネットワークとインターネット接続]

 [ネットワーク接続]を選択します。

図3-2: [ネットワーク接続]

 [ ローカルエリア接続]を右クリックし,[プロパティ]を選択します。

図3-3: [ローカルエリア接続]

 [ インターネットプロトコル(TCP/IP)]を選択し,[プロパティ]をクリックします。

図3-4: [ インターネットプロトコル(TCP/IP)]

 [ 優先DNS サーバ],[ 代替DNS サーバ]において,表1 の通りに設定します。

図3-5: DNS サーバを指定する

 図3-5 の画面で,[ 詳細設定]をクリックすると右の画面が現れますので,[DNS]タブをクリックし,[この接続のアドレスをDNS に登録する]のチェックを外して下さい。

図3-6: [DNS に登録する]のチェックを外す

5 おわりに

 本稿では,一般利用者の視点から見たDNS サーバの設定について,ごく簡単に説明しました。IP アドレスやDNS についてもっと知りたい…など,もし興味がございましたら,日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC) や,日本レジストリサービス(JPRS) のウェブサイトには,とても有益な情報がありますので,一度ご覧になってはいかがでしょうか。

(*1)本稿ではIPv4 ネットワークのことを指します。
(*2)もっとも,最近では,URL をウェブブラウザに入力するようなことはせず,検索エンジンを利用して様々なWWW サーバにアクセスすることの方が圧倒的に多いのかもしれませんが…。
(*3)より具体的には,いわゆるキャッシュサーバ(Recursive Server) を想定しています。
(*4)より厳密には,PC のOS のリゾルバがそのような問い合わせを行っています。
(*5)実際には,DHCP により自動的に接続先のDNS サーバを使うように設定される場合が多いと思います。
(*6)特にDNS サーバとして130.34.11.104 が指定されている場合には,130.34.11.104 はDNS キャッシュサーバ機能のサービスの停止を計画していますので,変更をお願いします。