新しいCSの各種利用法

TAINS利用研究会new-csグループ
new-cs@idac.tohoku.ac.jp

0 初めに

 昨年,新しいCSが配られました。 「パソコンなどをネットワークにつなぐ」という役割は古いCSと同じですが, 機能が豊富で利用者の要求に応じた様々なレベルでの活用ができます。 また,TCP/IPでの通信ができるので,古いCSのように ワークステーションとつなぐためにプロトコル変換器を経由する必要もなくなります。
 このCSは設定の方法にもいくつかの選択肢があり, 管理者の要求に応じて選ぶことができますが,利用できる機能の種類に差があります。 各部局で,ネットワーク機器に対する利用者と管理者の要求も様々でしょう。 「制約があってもいいから手間無しがいい」とか, 「少々面倒でもいろんな機能を使いたい」など。 それぞれの要求や事情に応じて,設定や利用の方法を選ぶことになります。
 この記事では,以下の4通りの要求を想定して利用方法の要点をまとめました。
  1. TAINS88の人のために (手間無し)
  2. SuperTAINS,サブネットの人のために (簡単)
  3. SuperTAINS,サブネットで使い込みたい人のために (面倒)
  4. プリンタサーバとして使う人のために
 不明な点がありましたら,記事の最後にある問い合わせ先まで連絡ください。

1 面倒な設定作業は絶対イヤ(TAINS88編)

利点:何も設定しないで標準的な学内のホストが使える
欠点:TAINS88に限られ,高度な使い方はできない
 RS232Cでパソコンと新しいCSをつないで電源を入れるだけで, 簡単にtelnetが使えます。 ただし,新しいCSをプリンタサーバとして使ったりすることはできません。 RS232Cの通信パラメータは初期値は9600baud,8bit,none parity,1 stop bit, xon/xoffフロー制御ですが,setttyコマンドで各ポートごとに変えることができます。

【例】
 TAINS88につないで電源を入れて起動します。 プロンプト(cs001 01> など。 数字は少し違います)が出てきたら

    cs001 1> settty baud 19200
とします。主なパラメータは,以下のとおりです。
┌─────┬─────────────────┐
|パラメータ│値                │
├─────┼─────────────────┤
|baud      │300,600,1200,2400,4800,9600,19200 │
|parity    │even,odd,none           │
|stop      │1,1.5,2              │
|bitchar   │7,8                │
|flow      │rs,er,xon,txon,rxon,none     │
└─────┴─────────────────┘

2 面倒な設定作業は絶対イヤ(SuperTAINS,TAINS88サブネット編)

利点:少しの設定でサブネット内のホストは使える
欠点:ドメインネームは使えず,サブネット外とは通信できない
 新しいCSはネットワーク上にあるブートサーバからソフトウェアと設定を ダウンロードして起動します。 総合情報システム運用センターが用意しているブートサーバは TAINS88幹線につながっている新しいCSに合わせた設定がなされていますので, サブネット内にあると起動しません。 したがって,サブネットを組める部局はサブネット内のワークステーションで ブートサーバを運営する方が良いのですが, 標準のブートサーバから立ち上げる方法もあります。 ただし,ドメインネームは使えないのでIPアドレスを直接指定しなければなりません。 また,サブネット外との通信はできません。 (ただし,routerがサブネットの内側に対してもproxy ARP動作をする設定であれば, ドメインネームの使用やサブネット外との通信もできます)

【例】
 新しいCSのP1ポートに端末をつないでおいて, 新しいCSの電源を入れたら数回リターンキーを押してモニタモードに入ります。 (MON> というプロンプトが出ます)

    MON> p -mod
 p -modコマンドで設定に入り, 始めの3行だけ0.0.0.0から各自の設定に変更します。 それ以下はそのままリターンを押して再びプロンプトが出るまでとばしてください。
    <network boot parameter>
    local IP address      : 0.0.0.0 ? (その新しいCSに割り当てるIPアドレス)
    server 1 IP address   : 0.0.0.0 ? 130.34.11.44 (この通り指定)
    router 1 IP address   : 0.0.0.0 ? (各サブネットのルータのIPアドレス)
    server 2 IP address   : 0.0.0.0 ? (これ以下は全部そのまま)
    MON> b -con
で起動します。 130.34.11.44はブートサーバのアドレスです。起動に要する時間は70秒前後です。 ブート中は赤いLED(STATUS 1 または 2)が点灯していますが, これが消えるとブートは完了です。 サブネットによってはこの方法でうまくブートできない場合があるようです。 そのときは,この記事の最後の問い合わせ先まで連絡してください。

3 ちょっとくらい面倒でもちゃんと使いたい (SuperTAINS,TAINS88サブネット編)

利点:ドメインネームも使え,サブネット外とも通信できる
欠点:bootのためのFTPサーバが必要
 最初に,新しいCSのブートの様子を簡単に説明しておきます。
 新しいCSは,動作に必要なソフトウエアを自分自身に持っておらず, ネットワーク上のブートサーバからftpでダウンロードするようになっています。 このとき,ソフトウエアといっしょに ルータアドレスやDNSサーバの指定といった各種設定も新しいCSにロードされます。 したがって,サブネットの中からDNSやルータを使えるような設定を使うためには, 自前でブートサーバを用意し,設定を適当に編集しておいて, そこからブートする必要があります。 以下,ブートサーバの準備と, 新しいCSの設定ファイルの書き方について,説明します。

3.1 新しいCSのアドレスの設定

 ブートするにしても以下の作業を行うにしても, まず,新しいCS自身がIPアドレスを持っていなければなりません。
 新しいCSは,モニターモードで自分自身のIPアドレスが設定されていない (0.0.0.0のままの)状態だと, RARPによりRARPサーバからIPアドレスの割り当てを受けます。 RARPサーバを用意できる場合はこの方法を使うことができます。
 一方,モニタモードで自分自身のIPアドレスが設定されていれば, その値が使用されます。 RARPサーバを用意できない場合はこの方法がお手軽です。 IPアドレスの設定方法は, 「2 面倒な設定作業は絶対イヤ(SuperTAINS,TAINS88 サブネット編)」の【例】を参照して下さい。 同じネットワークにブートサーバがある場合は モニターモードで指定されているrouterを0.0.0.0にしておきます。

3.2 ブートサーバ(ftpサーバ)の用意

 新しいCSがブートサーバからファイルを転送するのにはftpを使用していますので, ワークステーション等でftpサーバ(ブートサーバ)を用意します。 デフォルトではanonymous FTPによってログインしますが,モニターモードでuserと passwdを設定しておくことにより通常ユーザーの権限でftpすることもできます。 ただし,この場合はディレクトリ移動の制限がないので充分セキュリティに 気をつけてください。

3.3 新しいCSのソフトウエアをブートサーバにコピーする

 新しいCSがブート時にダウンロードするソフトウエアを, あらかじめブートサーバにコピーしておきます。 コピーは,新しいCSからネットワーク経由で行います。
 新しいCSのソフトウェアは, 総合情報システム運用センターからメモリカードを借りてください。 メモリカードを新しいCSに差した状態で電源を入れると,P1ポートにつないだ端末に 「install> 」というプロンプトが出ますので,
    install> netstart
netstartコマンドで,ネットワークを起動し,
    install> install
installコマンドでソフトウェアをアップロードするサーバの情報を 順次聞いてきますので,答えるとソフトウェアのアップロードが開始されます。 アップロードが終われば後はそのブートサーバ上での作業になります。
    install> shutdown
でインストールプログラムを終了して,電源を切り,メモリカードを抜いてください。
 anonymous FTPで運用するときはanonymous FTPのルートディレクトリに ../netbootとして展開してください(例:ログインしたところから見て ../netboot/boot.2ndがありますか?)。 通常ユーザーで運用するときはそのユーザーのホームディレクトリに ./netbootとして展開した後で netboot/の内容をすべて一段上のホームディレクトリへ移動してください。 (例:ログインしたところから見て./boot.2ndがありますか?)

3.4 新しいCSの設定ファイルの書き方

 サブネット内で使用するときに変更しなければならないファイルは以下のものです。
    ../netboot/install/setup/common/netmask
            130.34.0.0 255.255.255.192  #ネットマスク
    ../netboot/install/setup/common/broadcast
            130.34.???.??               #サブネットのブロードキャストアドレス
    ../netboot/install/setup/common/servers
            /share/routed
            (行頭の#マークをとる)
    ../netboot/install/etc/gateways
            net default gateway 130.34.???.?? metric 1 passive 
                                        #サブネットのゲートウェイ
    ../netboot/install/etc/resolv.conf
            各部局でのネームサーバの設定
    ../netboot/install/bootconf
            上記のファイルを使用するようにコメント(#マーク)を削除する。

4 プリンタサーバとして使ってみたい

利点:ネットワーク上のlprからの要求をパラレル/シリアル回線に送れる
欠点:bootのためのFTPサーバが必要
 新しいCSのパラレル/シリアルポートにつないだプリンターを, ネットワーク上からリモートプリンターとして利用することができるようになります。 ただし,BSD系のワークステーションで使用されるlprのみで, SystemV系で使用されるlpの出力を受信することはできません。
 初期設定では, プリンタサーバ機能のためのファイルは転送されないようになっているので, ./netboot/install/bootconfの中で以下のファイルのコメント (#マーク)を削除してください。
    # hosts.equiv
    # fifo.drv
    # prsvr
    # prrm
    # prcap
    # prgroup
 同様にプリンタサーバを起動するために, ./netboot/install/setup/common/servers の中で,以下のコマンドのコメント(#マーク)を削除してください。
    # /share/prsvr
 新しいCSとプリンタとの通信条件を設定します。 ../netboot/install/setup/common/prcapの中で, 例えば以下のようにします。
    lp1:lp=parallel:
     #パラレルポートを"lp1"とする。
    lp2:lp=tty5:br#9600:bitchar#8:parity=none:stop=1:flow=xon:
     #RS232Cの5番を9600bps,8bit,none parity,stop bit 1,xon/xoffフロー制御
     #名前を"lp2"とする。
 上記の"lp2"のようにRS232Cをプリンタにつなぐ場合は, ./netboot/install/setup/ttys ファイルの該当ポートをpassiveにします。
    tty4 cmd
    tty5 passive
 ../netboot/install/etc/hosts.equivファイルにプリントを許可する ホスト名を書きます。ここで書くホスト名は ./netboot/install/etc/hostsに登録されている名前を書きます。 制限をかけない場合は,"*"マークを書いてください。
 次にホスト側の設定を説明します。
 /etc/printcapにプリンタの設定をします。例えば以下のようにします。
    lp1|Printer 1:lp=:rm=printhost:rp=lp1:sd=/usr/spool/lp1:
    lp2|Printer 2:lp=:rm=printhost:rp=lp2:sd=/usr/spool/lp2:
 この例では,ホスト名printhostのlp1をリモートプリンタlp1として, ホスト名printhostのlp2をリモートプリンタlp2としています。 また,/etc/hostsにprinthostのIPアドレスを定義した
    130.34.???.??  printhost
という設定が必要です。 これで,このホストから
    lpr -Plp1
によって,lp1のプリンタに出力することができます。

5 問い合わせ先

 不明な点は,配布元である総合情報システム運用センター <tains@tains.tohoku.ac.jp> (学内内線3413・3437),もしくはこのマニュアルを書いたnew-csグループ <new-cs@idac.tohoku.ac.jp> までお問い合わせください。


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