学内WWWあんなページこんなページ 第12回

東北大学電気・情報系の大学院入学案内へようこそ

http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/
大学院工学研究科電子工学専攻 川又 政征
kawamata@mk.ecei.tohoku.ac.jp
電気通信研究所 鈴木 陽一
yoh@ais.riec.tohoku.ac.jp

1 何故このようなページが作られたのか?

 東北大学は開学以来 研究第一主義と門戸開放を 標榜 ひょうぼう してきました。私どもの所属する電気・情報系でも,この精神は今も様々なところで脈々と生きています。しかし,最近の大学院について考えてみるとき,どうも門戸がせばまってきているのではないかと感じられ,また電気・情報系の魅力が他大学や他学部の学生にあまり伝わっていないのではないかという心配も出てきています。


図 1: 電気・情報系大学院入試情報のトップページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/)

 最近,電気・情報系の大学院修士課程の入学者の状況を調査してみたところ,合格者中に本学の電気・情報系学部の出身者が占める割合が以前よりも高くなり,極端に言えばほとんどを占めていることが分かりました。この理由は,ひとつには単純なものです。多くの大学に大学院が設置されたために,卒業したところの大学院に進学する傾向が強くなっているためであると考えられます。しかし一方では,本学の電気・情報系の大学院の入学試験に関しては,電気・情報系学部の出身者と他大学・他学部出身者との間で情報格差ができてしまっているのではないかとの心配もあります。すなわち,試験科目やその内容,出題の傾向などに関して,本学出身者がもつ情報は当然圧倒的に多いので,これが他大学・他学部からの受験を阻んでいるのではないかという反省が生まれました。

 いろいろな経歴や考え方をもった学生が 切磋琢磨 せっさたくま することは大学院の教育と研究にはかかせないものです。そこで,東北大学の門戸開放の伝統に改めて思いをいたし,電気・情報系の大学院入試に関する情報とともに,電気・情報系の伝統や魅力を広く公開する目的で,昨年の6月,このページが設置されました。今年度は更に情報を増訂して,この9月に行われる大学院入試の情報を提供しています。

 入学試験の募集要項は事務的に正確なものですが,無味乾燥になりがちで,読んでみて面白いというものではありません。また,募集要項からでは大学がどんな学生を求めているのかも分かりません。このページは,募集要項のそんな側面を補う役割も担っています。

2 他のところではどのようになっているのか?

 数年前に,このホームページの設置が計画されたときに,大学院入試情報がどのように公開されているかを調査してみました。その調査では,大学院入試の情報について幅広く公開されているページはほとんど見つかりませんでした。大学院生が個人的に問題を集め,解答を作り,出題の傾向について論評するようなページはありました。また,教官が個人的に問題を公開しているものもありました。しかし,大学院入試の情報を大学側から積極的に公開しているページは見当たりませんでした。

 試験科目と出題範囲,過去の問題は試験においては非常に重要な情報です。高校生が受験する大学入試では,試験科目名が決まりさえすれば,どのような大学においても出題の範囲は共通であり,過去の問題やその解答は書店などで容易に手に入れることができます。しかし,大学院入試に関しては,大学ごとのカリキュラムや講義内容におけるよい意味での癖がありますので,その大学で学んだことのないものにとっては,試験科目名を知っただけでは内容や範囲を知ることは容易ではありません。また,これまでのところ,大学入試とは違って大学院入試は国民的関心事とはなっていませんので,大学院入試の問題を身近な書店などで手に入れることはできないのが普通です。

 大学院入試の問題は,教務関係の事務に連絡して実費でとりよせるか,大学内の生協や書店で購入できるようになっていることが多いようです。より厳しく問題を管理しているところでは,指導教官や学科主任教授の許可を得ていれば,問題を入手することができるようになっているところもあります。いずれにしても,インターネットの時代に,このような方法は結構わずらわしいと感じる学生が多いのではないでしょうか。

3 何が掲示されているのか?

 このホームページは上で述べたような意図で作られていますので,東北大学電気・情報系を紹介することと,入試の仕組みや出題に関する情報などを様々な観点から提供することが最重要の目的となります。更にこれに加えて,大学院の生活と仙台を紹介するページも作成しました。では,それぞれについて少し詳しく説明してゆきましょう。

3.1 大学院を選ぶために

3.1.1 電気・情報系とは

 話は前後しますが,電気・情報系という名称は正式のものではなく,仲間内で日常つかっている用語です。分かっている人には,それが指すものは明らかですが,正確に説明することはなかなか難しい言葉です。そこで,この電気・情報系という組織を他大学や他学部のからの受験生にもできる限り分かりやすいよう,丁寧に解説することにしました。図 2がそのページの冒頭の部分です。


図 2: 「電気・情報系」の説明のページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/navi.html)

 大学院入試の範囲に限っていえば,大学院工学研究科電気・通信工学専攻と電子工学専攻,それに大学院情報科学研究科情報基礎科学専攻とシステム情報科学専攻の第2群の学生を受け入れる組織が電気・情報系の大学院です。これらの専攻に加え,これらと一体運営を行っている電気通信研究所,さらには大型計算機センター,情報処理教育センターなどがあります。電気・情報系はこのような複数の組織の複合体であり,50以上の研究室と約100名の教授・助教授で構成されています。電気・情報に関する研究・教育組織で,これほど大規模・広範な組織は世界的にも数少ないのではないかと自負しています。

3.1.2 研究科選びと研究室選び

 電気・情報系は以上のような大規模な複合体であり,大学院に合格した学生は,これらの50以上の研究室のいずれかに配属されることになりますので,大学院入学のための情報としても,この大きな組織を見わたせるようなページづくりが必要となるわけです。また,電気・情報系に所属する研究室は,工学研究科か情報科学研究科かのいずれかに所属しています。いずれの研究科を受験しても,電気・情報系の研究室を志望する限り試験内容などはほとんど共通ですが,組織の独立性の性格上,現在のところ学生は工学研究科か情報科学研究科かのどちらかを選んで受験しなければなりません。研究科を選ぶと,合格後に配属になる研究室の範囲が決まってきますので,受験を考える際には,所属したい研究室によって受験する研究科を決めるというのが実際的な手順になりま す。


図 3: 電気・情報系の研究室情報のページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/lab.html)

 電気・情報系の大学院入試では,はじめに試験の結果によって合否を決め,その後に合格者に対して研究室配属のガイダンスが行われます。大学によっては,試験の点数だけではなく,研究室配属まで決定したときに,大学院に合格するというような方式をとっているところもあります。しかし,電気・情報系では,まず試験結果だけで合否を決めて,その後,配属を考えるということになります。いろいろな講座の専門的な内容などが分からなくても,とりあえず合格になるという点で,この方法は他大学や他学部の学生にとっても受験しやすいものになっていると思います。


図 4: 電気・情報系大学院入試の仕組みと一般情報のページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/info.html)

3.1.3 電気・情報系 研究分野別一覧

 以上のように電気・情報系の講座数は非常に多く,研究分野も広範にわたって おり,事務的な組織構成も複雑になっています。そこで,受験する学生が目標 とする分野を判断するために便利なように,図 \ref{lab} のような研究分 野別研究室一覧が作られています。この一覧では,大学院で行われているセミ ナーグループや研究テーマに応じて,研究室がグループ分けされています。こ の一覧には,各研究室で作られている詳しいホームページへのリンクがありま す。

3.2 受験しようと思ったら

3.2.1 入学試験のしくみ

 http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/info.html では,電気・情報系の大学院入試のしくみが説明されています(図 4) 。工学研究科と情報科学研究科の両研究科の試験は共通であること,受験科目の区別として,電気・通信・電子・情報と物理の二つの範囲があること,学部での成績優秀者は筆記試験免除となること,面接試験の結果も重要であることなど。このような事柄は,電気・情報系の学生にとっては,先輩や教官から日常聞いていて分かりきっていることですが,他の学部や大学からの学生にとっては分かりづらい面です。

3.2.2 受験する学生にとって最も関心のある情報

 大学院入試情報のページの中で,受験生にとって最も関心があり,また最も重要な情報は各試験科目とそれぞれの出題範囲,関連の教科書,および過去の問題だと思います。試験科目については,図 5のように科目名を記述し,その横に5件程度のキーワードが記述されています。また,科目の実際の内容を具体的に表すために,代表的な教科書と対応する章が記述されています。代表的な教科書のうちの一つは,多くの場合,東北大学電気・情報系で使っている教科書です。


図 5: 電気・情報系大学院入試の科目別詳細情報のページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/exe.html)

 過去の問題は試験科目一覧の中に,いくつかが問題例として掲示されています。今年度の場合,原則として直近の過去2年分の問題が示されています。このページでは,去年の問題か一昨年の問題かの区別無く例示されていますが,今後のことも考え,過去の問題は年ごとにディレクトリ構造で管理されています。

 ところで,ここで見ることのできる過去の問題は印刷された試験問題をイメージスキャナで取り込んだものです。そのため,ブラウザで見たときにあまり美しくなく,またプリンタにもきれいに印字されないと言う点に難点があります。

 問題をイメージスキャナで取り込まざると得ないのは,それぞれの教官が作成する問題の文書ファイルの規格を統一することが難しいことによります。電気・情報系の教官は,計算機を専門とする人が多いせいか,様々な文書作成のソフトウェアを使っています。このため,文書ファイルを統一することができないために,試験問題を画像として掲載しています。このような文書ファイルの不統一は,計算機の進歩が続いているあいだは避けられないことかもしれません。

 更に,一覧表の右端には,「受験推奨科目」という欄が設けられています。これは,他の学部や他大学からの受験生が所属している学科に応じて,どの科目を重点的に勉強するのが良いかを知る手掛りとなるように示してあるものです。外部からの受験生が所属している学科として想定される主なものを,電気・通信・電子分野,情報分野,物理分野の3つに分類し,それぞれの分野におけるカリキュラムを想定して,受験科目を推奨しています。例えば,理学部の物理学科や工学部の応用物理学科に所属している受験生にとっては,この欄の物理分野に*が付いている科目なら,既に勉強している科目との関連が付けやすく勉強しやすくなるだろうと考えたのです。ただ,この「受験推奨科目」は,あくまで科目選択の参考となるよう示してあるもので,たとえば情報系の学科に属している受験生が,物理分野に*のついている科目を選択したとしても,一切不利な取り扱いを受けるというようなことはないことも明記しました。

3.3 大学院生活に思いをはせる

 大学院に入った後にどんな暮らしが待っているのか,電気・情報系内部の4年生であれば先輩の様子をみてイメージがつかめているわけですが,外からの受験生,とりわけ他大学からの受験生には,想像しづらいところもあると考えました。そこで,学生とも相談をしながら作成したのが,図 6のページです。


図 6: 大学院生活と仙台を紹介するページ
(http://www.ecei.tohoku.ac.jp/nyusi/life.html)

 ここでは,(なるべく学生の視点に立って)前期課程の2年間と後期課程の3年間の生活のイメージを書いてみました。また,仙台以外の受験生のために,東北大学のトップページや仙台の情報へのリンクも作ってあります。ここでは『仙台市は「 もり の都」とよばれる,緑あふれる街です』と,受験生を誘っています。

 電気・情報系の大学院受験案内,いかがでしたでしょうか。実は電気・情報系では,数年前から問題は総て日英両国語で作成しています。近い将来には,英語による情報の提供も始める必要がありそうです。

 私たちは,このページがきっかけになって外部からの受験生,そして合格者が 少しでも増えていくよう願っています。それによって,これまで以上にいろい ろな経歴や考え方をもった学生が集い, 切磋琢磨 せっさたくま する場になればと思っています。それが,電気・情報系の魅力を更に増すとともに,その高度な研究・教育の水準を更に押し上げ,この分野をこれからもリードし続ける存在であり続けるための大きな原動力となることを信じています。


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