次世代のSuperTAINS へ向けて

曽根秀昭
総合情報システム運用センター 研究開発室
 東北大学は昭和63年(1988年)にTAINS (東北大学総合情報ネットワークシステム)の第一世代(TAINS88 )の運用を始め,平成7年(1995年)には第二世代(SuperTAINS )へ拡充しました。これによって東北大学は世界的に見ても最も優れた情報ネットワーク基盤を有し,その他のIT基盤とも連係させて,研究教育活動に活用してきました。この先進性は,TAINS の整備を実現に導いた多くの方々のご尽力,及び学内の広い分野の方々がTAINS の効果的な利用方法を熱心に考えられ,また実践されてきたことに負うものです。

 SuperTAINS が果たす役割の重要性は,どなたも十分に感じておられることでしょう。しかし,TAINS のような情報ネットワーク基盤が教育研究活動を支える基盤として常に有効に機能し,大学の発展を支えていくためには,情報処理技術の飛躍的な進歩に応じて整備を不断に継続し,最先端のネットワークをだれもが容易に使える環境を提供し続けていくことが欠かせません。幸いなことに,阿部総長を始めとする諸先生のご尽力により,昨年末に文部省のご理解を得て,平成12年度補正予算によりネットワークの拡充整備が認められました。たいへん喜ばしいことであり,関係各位に対してお礼を申し上げたいと思います。

 昨年12月に臨時の運営委員会が催され,次世代の超高速ネットワークシステムの整備に向けた仕様の検討を始めることが決定し,これまでに,機器の調達に関する基本的要求要件が次のように決定されています。

  1. 基幹ネットワークは8Gbps以上,インハウスネットワークとの接続は1Gbps以上であること。
  2. 各インハウスネットワークの運用を継続できるよう,多様な通信プロトコルによる収容が可能であること。
  3. 多様なアクセス手段を有し,離れた場所とネットワーク環境を仮想的に共有する機能を有すること。
  4. 既存の光ファイバを用いて多重化して伝送する機能を有すること。 
  5. 外部ネットワークと高速に接続できる装置を有すること。
  6. 多様なメディア・形態の学術情報をネットワークを介して統合的に提供する機能を有すること。
  7. 高いネットワークセキュリティを提供できること。
  8. 24時間運用に耐えられる高い信頼性を有すること。
  9. 既存のシステムと一体的な運用管理が容易に行なえること。
 例えば,現行のSuperTAINS ではキャンパス間の幹線が622 Mbit/sのATMで,各建物のインハウスネットワークを収容する支線は100 Mbit/sのFDDIです。最近ではパソコンでも100 Mbit/sのネットワークインターフェースをもつように,ネットワーク技術の高速化が進んでいます。そこで,今回は,キャンパス間を8Gbit/s,支線を1Gbit/s以上に高速化することが考えられています。TAINS88 では幹線が100 Mbit/s,支線が10 Mbit/sでしたから,世代が替わる度に一 けた ずつ高速化することになります。また,いくつかのグループからSuperTAINS ニュースに事例報告をいただいているように,TAINS の外との間で100Mbit/s級の接続を使った研究が行われており,今後は1Gbit/sの研究プロジェクトも提案されていますから,外部ネットワークとの接続の高速化も必要です。

 現在,学内の広い範囲の専門家の皆さんが委員会やワーキンググループにお集まりくださって,次世代のSuperTAINS について最新技術の調査や具体的な設計について検討が進められています。多くの方々の献身的な参加と熱心な検討をいただいており,これによって東北大学が世界に誇る情報ネットワーク基盤を手に入れて,他に先駆けて次の情報化社会の世界へ進むことができることを確信しています。

 平成13年度から改組により情報シナジーセンターが整備されて,スーパーコンピューティングや情報教育などの分野との 協働 シナジー 効果が期待されます。特に,新しい学術情報提供のシステムが,今回のSuperTAINS と併せて整備され,最 初の協働効果の一つになることでしょう。

 次世代のSuperTAINS の整備の詳細については,決まり次第,SuperTAINS ニュースなどによりお知らせしたいと考えています。最後に,実現に向けて,これからも,皆さんのご理解とご協力をお願い申し上げます。