SuperTAINS の拡充に寄せて

情報科学研究科 根元 義章
nemoto@nemoto.ecei.tohoku.ac.jp
 1995年は,東北大学が先進の ATM 交換技術を大規模に取り入れ 世界的にも類を見ない情報ネットワークSuperTAINS の運用を開始した年と なりました。これにより,本学の情報環境が大きな飛躍を遂げたことは, 今更ここで繰り返すまでもないでしょう。去る2月28日,3月1日, 披露式典に伴って開催されたデモをご覧になった方々は,マルチメディア アプリケーションの数々を目のあたりにし,その威力を肌で感じ,新しい 可能性に思いを巡らされたのではないかと思います。
 いま,このネットワークの具体的な活用をはじめた矢先に, 大変嬉しいニュースがもたらされました。平成7年度の補正予算として, 我々の情報ネットワークの拡充が認められました。ご尽力くださった 文部省をはじめとする関係各位の方々に対して,東北大学の情報ネットワーク の発展を願っている者の一人としてこの場を借りて深い感謝の意を表したい と思います。
 振返ってみますと昭和63年,今でいうところのTAINS88 を構築する に際してシステムの仕様の検討に携った折のことを思いだします。 当時,仕様策定委員会では,先端的情報ネットワークのもたらす恩恵を あらゆる分野の方々に享受して頂きたいという考えを基本としておりました。 そこで,TAINS88 の接続の手ができるだけ各研究室まで延びているようにと 設計されました。身近に来ているケーブルに機器を接続しさえすれば, 電子メール交換といった今では空気のようにあたりまえとなった情報 リテラシーが手に入る,そんな設計の哲学ともいうべき考えがあったのです。

 冒頭で述べましたように,昨年度,我々はSuperTAINS を手にしました。 しかし現在の段階では,この超高速ネットワークへの接続の手が,学内の 限られた場所にしか配置されていないという制約が存在していることも 事実です。
 今回,平成7年度の補正予算のおかげで,1996年のSuperTAINS は, TAINS88 の理想を再現する姿に発展することでしょう。具体的に申しますと, 各建物の随所にSuperTAINS への接続の手が見え,各研究室の機器から マルチメディア時代のインフラストラクチャを容易に活用できる, そのようなシステムが実現することになります。
 去る5月24日に東北大学総合情報ネットワークシステム 運営委員会が開かれました。そこでSuperTAINS の機能拡張を実現する調達物品の仕様の検討を開始することが決定され, 現在具体的な作業がなされております。今回の機器の調達では,スーパー コンピュータの導入などで適用されているアクションプログラムと呼ばれる 入札方式に従います。既に,調達すべき機器に対する基本的要求要件が 以下のように決定されております。

基本的要求要件

  1. 基幹ネットワークは,600 Mbps以上であること。
  2. 建物に設置されるインハウスネットワークは,マルチメディア コミュニケーションを行なう十分な伝送速度を有すること。
  3. 先端的なマルチメディアコミュニケーションが実施できること。
  4. 対外と高速に接続できる装置を有すること。
  5. 既存のネットワークと十分な整合性を有すること。
  6. 24時間運用に耐えられる高い信頼性を有し,障害に対して即時に対応できること。
  7. 既存のシステムと一体的な運用管理が容易に行なえること。

 本年度中にSuperTAINS はこれを満たすシステムに拡張され, 東北大学の情報ネットワークシステムが更に一歩前進し,発展していくこと に大いに期待しているところです。


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