SuperTAINS Q&A

山形大学 工学部 伊藤 彰則(*1)
aito@ei5sun.yz.yamagata-u.ac.jp
1.基本的な事項

1.1 SuperTAINS って何ですか?

 SuperTAINS とは,1995年2月に完成した,東北大学の新しいLAN (Local Area Network)の愛称です。なお,オフィシャルには, SuperTAINS とこれまでのTAINS (TAINS88 )をいっしょにして 「東北大学総合情報ネットワーク(TAINS)」と呼びます。

1.2 SuperTAINS を使うと何ができますか?

 これまで TAINS で可能だったことと質的な違いはありません。 しかし,通信速度は最大でこれまでの15倍にもなります。そのため, 画像や音声などの大量データのリアルタイムな転送などが可能に なります。もちろん,普通のファイル転送も格段に高速になります (コンピュータがその速度に追いつけば,ですが)。

1.3 SuperTAINS といままでのTAINSはどういう関係があるのですか?

 SuperTAINS と,従来の TAINS(TAINS88 )とは相互に接続され, 互いに自由に通信できます。当然ですが,SuperTAINS の敷設に 伴なってTAINS88 が徹去されるようなことはありません。 ですから,

という住みわけができていくと思われます。

1.4 TAINS88 というのは,TAINSとはどう違うのですか?

 TAINS88 は,1988 年に完成した(OSIベースの)東北大学のLAN を指しています。これまでは単に TAINS と呼ばれていましたが, SuperTAINS の完成によって,古い部分(88年完成)と新しい部分 (95年完成)をひっくるめてTAINSと呼ぶようになりました。そのため, 88年に完成した部分を特に指す場合にTAINS88 という言葉を使います。

1.5 うちの研究室にはSuperTAINS が来てないみたいですが?

 現在のSuperTAINS は,基本的に各建物にある配線盤(PD盤) までしか来ていません。PD盤から各研究室への配線は,各学部が それぞれ負担することになります(*2)。

2.技術的質問

2.1 ATMって何ですか?

 ATM とは,通信プロトコルの名前です。大ざっぱに言って, ``Ethernet'' や ``RS-232C'' などと同じようなレベルの 通信方式を表わす言葉だと思えば良いでしょう。
 ATM は Asynchronous Transfer Mode(非同期転送モード) の略で,STM(Synchronous Transfer Mode: 同期転送モード) と対になる言葉です。元々は高速のディジタル通信回線(B-ISDN) のために開発された技術ですが, 最近LANに使われることが多くなりました。
 ATM の特徴としては,

などが挙げられます。SuperTAINS で使われているATMは, 末端部分で156Mbps, 一部の基幹部分で 622Mbps の速度を持っています。

2.2 FDDIって何ですか?

 FDDI は,Fiber Distributed Data Interface の略で,これも通信 プロトコルの名前です。TAINS88 の基幹部分の光ファイバでの通信 に使われている方式がFDDI とだいたい同じです(厳密にはちょっと違う)。 FDDI の通信速度は 100Mbpsです。

2.3 TPDDIとFDDIはどこが違うのですか?

 FDDI のうち,ツイストペアケーブル(電話線に似たケーブル) を使って配線するものを特に TPDDI (または CDDI) と呼びます。 内部の通信プロトコルは全く同じものです。Ethernet で言うと, 10base-5 と 10base-T の違いのようなものです。

2.4 その他の情報はどこから手に入りますか?

 ATMについての一般的な情報は,ATM forum の WWW サーバ

	http://www.atmforum.com/
から手に入ります。また,
	http://netlab.itd.nrl.navy.mil/atm.html
にも様々なATM関連の情報があります。
 FDDI についてのQ&A集は,
	
gopher://cell-relay.indiana.edu/00/FAQ/FDDI-FAQ.txt
にあります。

3.機器の接続について

3.1 SuperTAINS に機器を接続したいのですが,申請は必要ですか?

 SuperTAINS に機器を接続するには「SuperTAINS 接続申請書」 の提出が必要です。詳しくは,大型計算機センターの ネットワーク掛(連絡先は後述)に問いあわせてください。

3.2 うちのWorkstationは SuperTAINS につながりますか?

 多くのメジャーなワークステーションには,ATM や FDDI または TPDDI に つなぐためのインタフェースが(オプションで)用意されています。 それほどメジャーでないワークステーションでも,おそらく FDDI 用や TPDDI 用のインタフェースは手に入るでしょう。あとはインタフェース を買うお金だけの問題です。これらのインタフェースは大体 30〜80万円ぐらいです。

3.3 SuperTAINS で利用できるプロトコルはどうなっていますか?

 SuperTAINS では通信のプロトコルを TCP/IP に限定しています。

3.4 ATMとFDDI のどちらでつなぐのがいいでしょうか?

 好みですが,ATM の方が将来性があり,FDDI/TPDDI の方が現在は 安定して使えます。接続費用は FDDI/TPDDI の方が安いでしょう。

3.5 ATMでつなぐ場合,何を設定する必要があるのですか?

 ATMで SuperTAINS を利用する場合,次のような点に注意する必要があります。

  1. ATM 上の通信方式。
     Ethernet や FDDI 上で TCP/IP などのプロトコルによる通信を する場合,その方式は一種類しかないので,別に悩む必要はあり ません。ところが,ATMをLANとして使う場合には,
    IP over ATM と LANエミュレーション の2つの方式があり,どれを使うかを選ばなければなりません。
     SuperTAINS では,IP over ATM の方を現在は採用しています。
  2. PVC と SVC
     ATMには,PVC(Permanent Virtual Circuit)とSVC(Switched Virtual Circuit) の2種類の接続があります。PVCとは,ある決まった端末間の接続を するもので,専用回線のようなものだと考えればよいでしょう。 SVCは,接続の要求があった時だけ必要な端末間を接続するもので, 通常の電話回線のようなものです。LANとしてATMを利用するときには, SVCを使う方がより望ましいのですが,現在の SuperTAINS では PVCによる接続のみを行なっています。このため,ATMで通信をする 場合には,ATM上にある接続相手を全て設定する必要があります。 これでは設定の手間が膨大になるのですが,実際には各ルータへの 接続だけを設定すれば,他の相手とはルータ経由で通信できる ようになります。

3.6 ATMでつなぐ場合,費用はどのくらいかかるのですか?

 ATM接続にかかる費用は,

  1. パソコンやワークステーション用のATMインタフェースボード(20〜100万円)
  2. ATMスイッチ(400〜600万円)
  3. 光ファイバの配線費用
です。建物にはすでにATMの接続ポイントが一ヶ所ありますから, 接続する機器が一台だけならば,2は不要です。ただし,2台目以降 の機器を接続しようとすると,必要になってきます。光ファイバの配線費用 は,機器の設置場所と PD盤の距離に大きく依存するので一概には言えません。

3.7 FDDIでつなぐ場合,何を設定する必要があるのですか?

 FDDI は Ethernet と似たようなタイプのLANなので,単につなげばOKです。

3.8 FDDIでつなぐ場合,費用はどのくらいかかるのですか?

 DASインタフェースと SASインタフェースのどちらを使うかに依存します。 SASインタフェースの場合,

  1. パソコンやワークステーション用のFDDIインタフェース(20〜100万円)
  2. FDDIコンセントレータ(100万円〜)
  3. ケーブルの配線費用
です。建物にはすでにFDDIの接続ポイントが一個所ありますから, 2は,接続する機器が一台だけならば不要で,2台目 の機器を接続するときに必要になります。配線費用 は,機器の設置場所と PD盤の距離に依存しますが, 一般に UTP ケーブルの方が光ファイバよりもかなり安価です。 DAS インタフェースを使う場合にはコンセントレータは不要ですが, DASインタフェースは SAS インタフェースよりも割高です。

3.9 SuperTAINS には,何台まで機器がつながるのですか?

 ATM 機器は,いまのところ全学で62台までになっていますが,これは 将来的には拡張されるでしょう。FDDI は,建物2つ〜3つごとのグループ 内で最大62台です。それ以上の接続が必要になる場合には,サブネットを 構築する必要があります。

3.10 FDDI も ATM もないWSをSuperTAINS に直結できますか?

 無理です。

3.11 SuperTAINS での netmask と broadcast はいくつですか?

 SuperTAINS での netmask は一律 255.255.255.192 です。 broadcast は場合によって異なりますが,host部が all 1 です。 例えば,130.34.45.0 というサブネット内のbroadcast は 130.34.45.63 です。

3.12 SuperTAINS と TAINS88 の両方と接続したいのですが?

 SuperTAINS と TAINS88 とは相互接続されていますので, SuperTAINS だけに機器を接続すれば,その機器は TAINS88 上の機器 と問題なく通信できます。ほとんどの場合は,SuperTAINS と TAINS88 両方に機器をつなぐ必要はありません。また,両方に接続するには 注意深い設定と管理が必要なので,どうしてもそうする必要がある場合以外 はおすすめではありません。
 ではどういう場合に「どうしてもそうする必要がある」かと言うと, SuperTAINS に接続している機器と,TAINS88 直結の機器との間に 常に大量の通信がある場合,たとえば

などの場合です。これらの場合は,SuperTAINS と TAINS88 の両方に接続 するのも止むをえないかもしれません。しかし, サブネットを構築するのがより良い解決法でしょう。

3.13 SuperTAINS と TAINS88 の両方と接続する場合の注意点は何ですか?

 一言で言うと,「TAINS88 側に RIP を中継しない」ということです。 SuperTAINS では 動的経路制御を行っており,そのための手段として RIP プロトコル を使っています。SuperTAINS 上のルータは RIP を使って経路情報を SuperTAINS 上に常に流していますが,WS をSuperTAINS と TAINS88 の両方に接続 すると,この RIP の情報を TAINS88 側に通してしまうことがあります。 その結果,最悪の場合には TAINS88 と SuperTAINS との通信に支障をきたす 恐れがあります。もしどうしても1台の機器を SuperTAINS と TAINS88 の両方に 接続する必要がある場合には,RIP の中継をしないように注意して設定を する必要があります。
 実際に RIP を中継しないようにするには,次のいずれかの方法を使います。

 TAINS88 とSuperTAINS 両方にWSを接続する場合には,その他にも各ネットワーク インタフェースのnetmaskにも注意する必要があります。

3.13 SuperTAINS 直結のサブネットを作りたいのですが?

 SuperTAINS 直結のサブネットは,TAINS88 直結サブネットよりも管理が 容易なので,おすすめです。サブネット構築の申請は, ネットワーク掛か,ip-alloc@tohoku.ac.jp まで。 サブネット構築の詳細については,


http://www.tohoku.ac.jp/TAINS/documents/subnet/subnet-in-tains.html
を参照してください。

4.アプリケーション

4.1 テレビ会議をやりたいのですが,何を用意すればいいですか?

 ワークステーション上で動くテレビ会議のソフトがいくつか あります。情報科学研究科で導入したワークステーション(Sun SparcStation) 上では,ShowMe というテレビ会議ソフトが動いています。また, ソフトウェアの他に,ビデオカメラとビデオ入力インタフェース, 音声入出力インタフェースが必要です。

4.2 SuperTAINS を使って,画像の転送をしたいのですが?

 どうぞ。

4.3 SuperTAINS のファイル転送は,実際はどの程度速いのでしょう?

 ATM は最大155Mbps, FDDI は最大100Mbps ですが,ここまで速いと, 計算機や周辺機器(ハードディスクなど)の速度がネックになります。 割と速めの計算機を持ってきたとしても,最大20〜50Mbps が いいところでしょう。

5.その他の情報

5.1 TAINS88 と SuperTAINS はどこで接続してるのですか?

 TAINS88 とSuperTAINS の接続は,青葉山の大型計算機センター内にある ルータで行われています。他に,川内の情報処理教育センターと,片平 の情報科学研究科片平分室にも接続点がありますが,普段は使われていません。 これらは,緊急時のバックアップ用です。

5.2 ネットワークに関する相談はどこにすればいいの?

 大型計算機センター・ネットワーク掛が世話部局になっています。 内線は青葉山3659,E-mail は net-sec@cc.tohoku.ac.jp です。

[注釈]

*1  平成7年3月まで東北大学情報処理教育センターに所属, 旧技術運用検討小委員会委員としてSuperTAINS の計画に参加。
*2  この部分の配線の予算がついたらしいので, そのうち手元まで光ファイバが来るかもしれません。

www-admin@tohoku.ac.jp
pub-com@tohoku.ac.jp