東北大学総合情報ネットワークシステム運営委員会広報専門委員会の発足にあたって

電気通信研究所/情報科学研究科 鈴木陽一(*1)
yoh@riec.tohoku.ac.jp
 SuperTAINS の基本的な工事が完了し,東北大学の情報ネットワーク環境も, 本格的なマルチメディア時代を迎えることとなりました。この春には,この SuperTAINS ニュースに報告がありますように,完成を記念するデモンストレー ションが開かれ,1000人をはるかに越える皆さんにご覧いただくことができま した。新しいSuperTAINS が,私たちになにをもたらしてくれるのか,いまひ とつイメージがはっきりしなかった部分も,このデモを通して(少なくとも近 未来像は)見えてきたような気がします。
 昭和63年にTAINS88 が構築されたころからだったでしょうか,私は,電 子メールを使うようになりました。使ってみますと,電話と違い相手の都合を考え ずに連絡ができますし,また自分でも都合の良いときに読み書きができますので, とても便利なものです。自分の研究室以外の人も含めたグループ研究の打ち合せな どは,ほとんどメールになりましたし,近頃では,学会の研究会の案内や参加申し 込みなどが電子メールでできるようになってきました。また,別の学会の全国大会 は,電子メールでアブストラクトが送れるようになりました。もちろん,この SuperTAINS ニュースの編集にも,意見の交換,原稿の受け渡しなど,電子メールを大 いに活用しています。更に,最近ではWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)と呼ば れるシステムが広く使われるようになってきて,文字だけではなく,画像や音 なども含めたマルチメディア情報が流通するようになってきました。
 TAINS88 の完成当時はパソコン1台あたり20万円近くしたイーサネット ボードも今では1枚1万円という値段となり,TAINSに直接接続しての高速な通 信がパソコンでも簡単にできるようになってきました。東北大学の自分の研究 室にいて自分のパソコンから使う限りは,このようなネットワーク環境を大い に享受しています。
 しかし,学外に一歩でてしまいますと,最も基本的な電子メールの利用ですら 学内にいるときの快適さは,まだまだとても得られないというのが実情のよう です。先日は,北海道大学から自分のメールを読み書きする機会がありました が,ネットワークの遅さにいらだちをおぼえました。また,先週はノルウェー で開催された国際学会に参加してきましたが,ここにはインターネット接続の 準備がしてあって,参加者が自由に使えるようになっていたのです。しかし, 私にとっては日本語の使えない環境のため,横目でながめただけでした。一方, 私がドイツに滞在していたときには,日本からネットワーク経由で日本語用の プログラムを入手し,これを組込むだけで,自分の研究室と変らず日本語を何 不自由なく使うことができていました。
 ネットワークの技術は,文字どおり日進月歩で進んでいます。しかし,上のよ うな経験を通して考えることは,トップレベルの技術だけではなく,着実な利 用技術の開発と普及が極めて重要であるということです。私たち,東北大学総 合情報ネットワークシステム運営委員会広報専門委員会(TAINS広報委員会)は, TAINSや,その先につながるインターネットの世界を誰でもが便利に使えるよ う,必要な情報を分りやすく伝えて行こうと考えています。このため,この SuperTAINS ニュースはもちろんのこと,講習会や,WWWによる情報の提供な ど,多角的な方法で広報に取り組んで行きたいと考えています。どうぞ,これ からの私たちの活動にご理解とご協力をお願いいたします。

広報専門委員会メンバー

委員長 鈴木 陽一  電気通信研究所,助教授  
委員  芹澤 英明  法学部,助教授      
    曽根 秀昭  大型計算機センター,助教授
    石垣 久四郎 附属図書館,助手     
    藤井 章博  大型計算機センター,助手 
事務局 千葉 実   大型計算機センター,技官 
    花岡 勝太郎 大型計算機センター,技官 

[注釈]

*1  東北大学総合情報ネットワークシステム運営委員会広報専門委員会委員長