東北大学のネットワークと研究に望むこと

日本大学教授・東北大学名誉教授 野口 正一
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 東北大学ではこの度文部省の御理解と御援助のもと,世界の大学学内ネットワークの 中でも,最も先端的なネットワークシステムSuperTAINS を完成されたことはまことに ご同慶の至りであります。一方,これほど強力なInfrastructureが東北大学の中に設 置されれば,国内外の多くの人々から当然のことながら東北大学の研究者に対し,新 しい次世代のための情報・通信の基礎技術,そして多くの先端的なネットワーク高度 利用のアプリケーションの開発に対し,多くの期待がよせられることになります。 周知のようにPC,WSを始めとするコンピュータ技術の研究・開発では日本は完全 に米国に遅れを取り,又Internetで代表される通信とコンピュータが融合し,結合す る分散情報処理,ネットワークの研究・開発でも大きく立ち遅れております。この状 況をドラスティックに変えるため,そして我が国の新しい情報・通信の技術を確立し ,世界のリーディングポジションを取るため,東北大学の大型計算機センター及びこ れをサポートする人々に是非とも頑張って欲しいと思っております。
 当然のことながら先端的な新しい技術は最も先端的な研究・開発の基盤がなければ生 まれません。この研究開発の少なくとも一つの重要拠点が東北大学であって欲しいと 思っているわけです。今回のSuperTAINS の調達において,ネットワークの最も中心を なすATM交換機そしてルータの多くは残念ながらアメリカのFore社の交換機であり ,Ciscoのルータであると聞いています。この二つの会社は巨大企業ではなく,Fore にしてもCiscoにしても大学の研究をベースとしたベンチャであります。アメリカの 強さは常に先端産業の技術を開発し,支える上で大学が大きい役割を果たしてきたこ とであります。残念ながら現在の日本の大学における学産の協同研究はアメリカと比 較して多くの制約もあることは十分認識しておりますが,東北大学が新しい SuperTAINS を構築した原点に立って,日本の中で最も先導的な学産の研究体制を作 り,新しい情報・通信の技術を創出することを平成8年の始めにあたり強く願うもの であります。
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