PPP日記
−出張先からのインターネット−
工学部金属工学科 遠藤 守
endo@material.tohoku.ac.jp
1.はじめに
最近,電話回線によるインターネットの利用手段としてppp接続が盛んに行われるようになってきました。
そこでこのpppを使って,出張先(東京方面)からの電子メール利用の実用性について実験を行いましたので報告させていただきます。
本題に入る前に,ここで少しpppについて簡単に説明させて頂きます。
pppすなわちPoint-to-Point Protocolは,シリアル接続でTCP/IP接続をするプロトコルです。
通常は,モデムを使って電話回線を経由してTCP/IP接続を行ないます。
さて,このppp接続を行なうには,pppプロトコルをサポートしたpppサーバとクライアントが必要となります。
雑誌でよくインターネット・プロバイダという言葉を見かけますが,これは商用の
pppサーバです。したがって,このインターネット・プロバイダに入会してから,
ppp接続を行なうことになります。もちろん,研究室のワークステーションにモデムを
接続してpppサーバを立ち上げることによってpppサーバとすることもできます。
一方,pppクライアントの方は,パーソナルコンピュータにモデムを接続し,
pppのドライバーをインストールするだけです。
後は,端末すなわちパーソナルコンピュータ(クライアント側)からインターネット・プロバイダや
研究室のワークステーション(サーバ側)へ電話をかけてppp接続することになります。
次の節では,具体的なppp接続のための構成を示します。
2.ハードウエアおよびソフトウエア構成
以下が,今回ppp接続試験に用いた端末とpppサーバの構成です。
- 端末
- ハードウエア: Macintosh Duo230 + ExpressModem
- ソフトウエア: MacTCP-2.0.6 + MacPPP-2.2.0a
- PPP server
- ASAHI-NET (商用インターネットプロバイダ)
- 研究室のpppサーバ (SUNワークステーション)
ppp接続は,ISDN公衆電話と宿泊したホテルから行いました。ISDN公衆電話はグレー色をした電話機で,街の所々にみかけることができます。
3.ppp接続日記
出張先からの電子メールおよびtelnet接続実験を行なった時の様子をまとめてみました。PPP接続は公衆電話およびホテルの部屋添えつけの内線電話から行ないました。また,サイバーカフェにも寄ってみました。
3.1 公衆電話の場合
- 平日の昼休み,東工大長津田キャンパスにて
−公衆電話からASAHI-NETの東京のアクセスポイントへ−
なんなくppp接続が完了。そこで,さっそく東北大の自分の研究室のワークステーションにtelnetをかける。一応,つながることはつながるが,どうも遅くて実用的な速度ではない。
- 平日の夕方,渋谷駅前の公衆電話にて
−公衆電話からASAHI-NETの東京のアクセスポイントへ−
アクセスポイントへ電話をかけてもつながらない。数分後,再度挑戦。今度はつながった。POP対応の電子メールソフトEudoraでmailを一通,研究室のワークステーションに送るが相当遅い。たった一通のメールを送るのに5分以上もかかってしまった。
- お昼休み,秋葉原の公衆電話から
−公衆電話からASAHI-NETの東京のアクセスポイントへ−
かなり遅い。ちょっとまともには使えない。
3.2 ホテルの部屋からの場合
- 夜,都内のホテルから(PM10頃)
−部屋の電話からASAHI-NETの東京のアクセスポイントへ−
部屋にモジュラージャックのソケットが用意されていたので,接続してみた。ホテルの部屋の電話は受話器を上げたときにビジートーンをだすようなので,モデム初期化コマンドにX3を追加,そして0発信でかつダイアルトーンを出すようなので,電話番号の先頭に0wを追加。これによって難無くつながるようである。早速,研究室のワークステーションにtelnetしてみる。ちょっと遅いがまあ使える。PM11頃再接続してみると,今度は速く,まったくストレスを感じない。
- 朝,都内のホテルから(AM7頃)
−部屋の電話からASAHI-NETの東京のアクセスポイントへ−
朝は,回線が込んでいないらしく快適に通信できる。
- 部屋の電話から研究室のpppサーバへ(AM7:30頃)
−部屋の電話から研究室のpppサーバへ−
今度は研究室のpppサーバへ直接電話をかけて接続して見る。これは仙台の自宅から研究室へ電話してつないでいるのと変わりないくらい速い。電話代さえ気にならなければ直接つないだほうがよさそうだ。
3.3 サイバーカフェの場合
Asahi-netを経由したppp接続があまりに遅いので,サイバーカフェへ行ってtelnetやWWWで様子を見ることにした。時間はPM2頃。Netscapeであちこち接続して見る。都内へのアクセスはどこも速いが,東京都以外へのアクセスは遅い。特に東北大へのアクセスは非常に遅かった。試しに東北大の複数のワークステーションにtelnet接続を試みたが,gatewayが反応しないというmessageがでて,なかなか接続できない。たまに接続できるが,非常に遅く途中で接続が切られてしまうこともしばしばだ。
4.まとめ
以上,ppp接続の様子を簡単にまとめてみました。経路によっても違うのでしょうが,日中の東京-仙台間の回線がかなり重いと言う印象をうけました。こういった東京エリアからのppp接続によるメールの送受信を日中に行うには,対策を講じておく必要がありそうです。
例えば,
- 東京-仙台間に高速専用回線を持ったインターネットプロバイダに入会する。
これは値段が高いのが難点です。
- 東京エリアのメールサーバのIDを取得し,そこへメールを転送する。
メールサービスをしているインターネットプロバイダにメールを転送しておけば,わざわざ研究室のワークステーションにアクセスしなくても済む。
- 直接研究室のモデムにつなぐ。
これは確かに速くて手っ取り速いが,遠距離だと電話代が気になります。
などの対策が考えられます。
ところで,今回の出張以外にも 秋保の温泉宿の内線電話からのppp接続を試みたのですが,これは失敗におわりました。モデムがダイアルを完了してくれ無かったのです。モデムの初期化の設定をいろいろ変えてみたのですが,何ともなりませんでした。ゼロ発信のところで,つまづいてしまうのです。交換機の問題かもしれません。このように内線電話を使う場合は,モデムの初期化等に工夫が必要な場合があるので,あらかじめ多様な状況に応じた設定方法を把握しておく必要があるでしょう。
また,インターネットプロバイダによっては,混んでいてインターネットプロバイダそのものに電話をかけてもつながらずppp接続をすることができないところもあるようです。入会する際は,あらかじめプロバイダの混み具合などを十分に調べておいたほうがよさそうです。
5.さいごに
出張先からpppを用いて電話回線からTCP/IP接続をし,電子メールのやり取りを試みました。残念ながら今回は日中の通信速度が遅く,満足な結果を得られませんでした。次回は,上に示した対策を立てて接続試験を行なってみようかと考えています。
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