新しくなる SuperTAINS の姿

東北大学総合情報ネットワークシステム運営委員会 技術専門委員会
 すでに本ニュース3号の「SuperTAINS の拡充に寄せて」で ご報告しましたように,平成7年度の補正予算により, SuperTAINS の拡充工事が進められています。 拡充計画の内容は,ご報告した基本的要求要件に従って策定され, 入札,着工を経て,3月現在,工事が完了しつつあります。 ここでは,新しくなる SuperTAINS の姿を紹介します。

1.拡充の考え方

 平成7年2月の SuperTAINS の設置により,これまで不可能であっ た大量データの高速な交換が可能となりました。しかし,この時点 では,予算の関係で建物のすみずみまで整備できていませんでした。 つまり,キャンパス間あるいはキャンパス内の超高速ネットワーク の整備は行われましたが,TAINS88 のインハウスネットワークの ような研究室までのネットワークの整備とはいえませんでした。
 SuperTAINS を今後十分に活用していくためには建物内のネット ワークの整備が不可欠です。今回の拡充工事についての基本的な考 え方はこの点に留意したものです。拡充に関する基本的な考え方を 以下に述べます。

  1. SuperTAINS の基幹部分に含まれていなかった雨宮キャンパス を SuperTAINS の基幹部分の経路に加える。

    雨宮キャンパスは,平成7年の時点では地理的な事情から,光ファ イバで接続されていませんでした。今回の拡充では,特にこの点に 最優先の配慮を行い,高速回線による接続を実現しました。

  2. キャンパス間の基幹部分の伝送速度を全て622Mbpsとする。

    増え続けることが予想される基幹部分のトラヒックに対処するため, できる限り広い伝送帯域を確保すべきであるとの考えに基づいて決 められました。
    拡充後のシステムには, 最新鋭の交換機器を導入し,従来のもの を再配置するなどし,最大限の効率を発揮できる構成としています。 平成8年3月に拡充工事が完了した時点での基幹部分の機器構成は, ATM交換機がFore社製のASX-1000(5台),ATMハブが同じくFore社製 のASX-200(15台),ATMルータがCisco社製のCisco7000(15台)となり ます。

  3. 利用者が配線工事などの特別な措置を行わなくても SuperTAINS に接続できるような環境整備を行う。

    全ての学内の研究室が,低い導入コストで SuperTAINS に接続でき るためには,各研究室から近いところに接続点を設けることが是非 必要です。そこで,今回の拡充では,PD盤(光分配器)を学内の主要 なほとんどの建物に設置し,その数は約200ヶ所に及びました。更 に,TPDDIコンセントレータ約100台を部局単位に設置することにし ました。これによって,全ての研究室から SuperTAINS と接続する ための接続点がいき渡ることになります。

2.拡充後の姿

 拡充工事後の SuperTAINS の全体構成を図1に示します。


図1: 新しくなる SuperTAINS の構成図

 片平,川内,南青葉山,北青葉山,星陵,および雨宮の6つのキャ ンパスにATM交換機を配置し,これらをシングルモードの光ファイ バでメッシュ型に接続しています。
 以上のように,今回の拡充計画によって,当初から我々の描いて いた要望が十分に満足される形になりました。SuperTAINS による 超高速の通信技術が研究室まで達し,まさに最高級の超高速キャン パスネットワークが実現したといえるでしょう。

3.SuperTAINS の運用

 拡充工事の完成と期を同じくして,平成8年4月に「東北大学総合 情報システム運用センター」が発足するとのことです。
 ここでの業務は,益々高度化し複雑となってきている情報ネット ワークの運用管理業務をはじめ,技術的な課題に対する開発研究等 となるそうです。高度情報化に伴う学内の諸問題の解決に,このセ ンターが中心的な役割を果たすことになることでしょう。 SuperTAINS が,東北大学の学術教育活動に貢献できるための状況 が一層整ってきたといえるでしょう。

4.おわりに

 昨今,情報化の進展はめざましいものがあります。大学における 幅広い研究活動もこの潮流とは無関係ではありえないでしょう。そ こで,他に先行した最先端の情報処理支援環境の整備が不可欠とな ります。SuperTAINS と TAINS88 を有機的に結合することにより, 先端的なマルチメディア通信を支援できるインフラストラクチャと して, 東北大学の研究・教育を支援する重要な役割を担っていま す。また,東北大学は常に最先端のネットワーク環境を維持すると いういわば社会的な任務があると考えられます。
 今回の拡充により,一層我々の身近になった高速ネットワーク環 境のもとで, 利用者である我々が,他に先行した最先端の情報処 理支援環境の充実を図ることで,この新しいインフラストラクチャ を活用してゆこうではありませんか。


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