英文ジャーナルのオンライン化の提案
医学部 武田 篤
atakeda@neurol.med.tohoku.ac.jp
今年はじめより私の所属する教室でもメールサーバーを用意し,E-mailやWWWなどを
日常的に使用する環境が整いました。
internetの世界を覗かせてもらって,一番驚き,また感心したのが,
海外の主要学術雑誌のon-line化です。
Nature, Science, Cellなどの一流誌が発行日と同時にcontentsのみならず
abstractまでon-lineで公開している事に始めは驚き,そして現在,
非常に便利に利用させて貰っています。
on-line化する学術雑誌も次第に増えているようです。
中でも,日本生化学会の英語雑誌,
Journal of Biochemistry
が,abstractのみならず,テキスト全文,図,表,リファレンスなど,すべて
on-line化 (*1)したのは興味深く思われました。
リファレンスなどはその1つ1つがそのままEntrezにlinkしていてとても便利です。
同誌は,私の研究分野において国内発行の英文誌としては,とても健闘している
良い雑誌だと思いますが,Impact factorだけでみると,類似の学会誌
(JBCやEMBO-Jなど)に及びません。
日本国内の生化学が領域によって世界のトップレベルになっている現在も,
Impact factorの不振に悩んでいるわけで,少しでもImpact factorを
上げようとの英断だったと聞きます。
Impact factorには色々議論もあり,数字が即,雑誌の優劣を決めるものでないことは
重々承知していますが,しかし,また一方,注目度を示唆する貴重な指標のひとつと
言うことは否定できないと思います。
本学の学部や研究所で,それぞれに英文のJournalを発行していると思います。
我々の身近で国際的な学術雑誌を発行していることはとても大事なことと考えますが,
一部では,中々Impact factorが上がらないとか,一時は投稿数が減って雑誌の
刊行維持が難しくなったという例があったとも耳にします。理由はいくつかあると思
いますが,
- 定期的に内容をきちんと読んでいる読者が少ないため論文が注目されにくい。
- たとえ文献データベースの検索で論文の存在を把握しても
(特に海外で)雑誌が手に入りにくいため,引用するのをためらってしまう。
の2点については少なくとも,on-line化すればかなり改善されるものと思います。
その方向でもう準備されている方がいらっしゃるかもしれませんが,Journalの
on-line化をご検討されてはいかがか,と思います。
[注釈]
*1
http://www.bcasj.or.jp/jbindex.html
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