TAINS のインターネット接続の構成

総合情報システム運用センター
tains@cc.tohoku.ac.jp

1. はじめに

 新聞で「インターネット」の文字を見ない日がなくなってから,かなりになります。 インターネットによって,他の大学や外国との間で電子メールや WWWなどのネットワークアプリケーションを利用できます。 東北大学でも,TAINS にパソコンなどの端末を接続すれば,ただちに インターネットを利用できますから, ほとんどの方がさかんに利用されているようです。
 TAINS のように,大学や会社などの組織内に作られているコンピュータ ネットワークを LAN (ローカルエリアネットワーク) といいます。 ほかの組織の LAN と接続し,相互に乗り入れて通信できるようにすると, ほかの組織との間でも,学内と同様に,ネットワークアプリケーションを 利用する通信が行なえるようになります。 このようにして組織内のネットワークを相互に接続しているネットワークが, すなわちインターネットです。
 この記事は,TAINS とインターネットの接続について,その構成を お知らせするものです。

2. TAINS のインターネット接続

 TAINS は,インターネット接続のために,学術系地域ネットワークの TOPIC (東北学術研究インターネットコミュニティ) に加入し,接続しています。 すなわち,TAINS から学外と通信する場合, TOPIC のネットワークを経由します (*1)。 TOPIC は東北大学大型計算機センターに事務局を置き,東北地区の大学・ 高専など約70の研究機関が加入しています。 これにより,TOPIC を経由して,東北地区の大学などと通信することができます。 TOPIC は文部省学術情報センターが運用するSINETと接続していますから, SINET に接続する他の学術系地域ネットワークの接続機関とも通信できます。 さらに,SINETは国内外のインターネットサービスプロバイダとも 接続していますから,世界的なインターネットを使うことが可能になります。 この様子を,図 1 に示します。

[TAINS のインターネット接続]
図 1 : TAINS のインターネット接続

3. TAINS の対外接続

3.1 ネットワーク構成図

 TAINS と TOPIC の接続部分を中心にネットワーク構成をあらわしたものを 図 2 に示します。 「[ R ]」がルータ, 「[ hostname ]」が 各種のホストを表します。 その他の線はネットワーク接続を表し,線の太さは伝送速度を表しています。
 ルータはネットワーク(サブネットを含む)を接続する装置です。 TAINS の対外接続部分では,安定性や機能を重視して,ワークステーションではなく 専用ルータを用いています。 この図に示されているホストは,ネットワークの運用・管理や 各種情報サービスに用いられているワークステーションです。 それぞれのホストの主な役割は,ホストの脇に略号で書き添えました。 ルータを表す箱の上 (または下),ホストの箱の中には,それぞれの 名前を示しました。
 「130.34.11.128/26」などの数値は, それぞれの部分のネットワークについて,「/」の前がネットワークアドレス, 後ろがネットマスク長(ビット数)を表します。 この例のネットワークでは,IPアドレスを構成する32ビット(8ビット×4)のうち, 上位26ビットが固定されてネットワークを表し, 130.34.11.128 から 130.34.11.191 までの範囲のアドレスが含まれます。 ルータとホストを接続する線に書き添えた数値は,それぞれのアドレスの下位桁です。

[TAINS の対外接続の構成]
図 2 : TAINS の対外接続の構成

3.2 SuperTAINS と TAINS88 の接続

 TAINS88 から SuperTAINS への通信は,ルータの AR-0900 を経由します。 対外接続が SuperTAINS 側にあるので,TAINS88 の機器から 学外への通信も,AR-0900 (130.34.8.40) へ向けるよう設定することに なっています。
 TAINS88 と AR-0900 の間が混雑して通信が滞るのを避けるために, SuperTAINS から TAINS88 への通信は別の経路を作るルータの sekiyama および togatta を通しています。

3.3 TAINS と TOPIC の接続

 TAINS の対外接続については,SuperTAINS の基幹ネットワーク部分に 設けた二つのルータ sasaya と sekiyama を通り,大型計算機センター内の TOPIC 仙台 NOC (*2) へ接続されています。 2台を置いているのは,片方の動作にトラブルがおきても 接続を保てるようにするためです。どちらのルータも SuperTAINS へは ATM で,TOPIC へは FDDI で接続されています。

3.4 TOPIC のネットワーク

 TOPIC はほぼ各県に1ヶ所の NOC があり,仙台 NOC には宮城県内の TOPIC 参加組織のネットワークおよび他県の NOC からの接続が 入ってきています。 仙台 NOC のネットワークは,従来の 10Base-5 のものから 新しい FDDI と 10Base-T のものへ移行している途中であり, 両者はルータの kurikoma で相互に接続されています。
 TOPIC は,学術情報センターの SINET,WIDEプロジェクトの WIDE インターネット, および東北インターネット協議会TiA と相互接続しています。 海外との通信は,おもにSINETを経由します。

3.5 TAINS の主要サーバ

 TAINS の運用とそれに関連した情報サービスのために用いられているサーバのうち, 主要なものを図 2 に示しました。 左上の izumi のみ片平キャンパスに置かれ,そのほかは青葉山の 総合情報システム運用センターに置かれています。
 TAINS に接続した機器のアドレスと名前を対応付けるデータベースとして ドメインネームシステム(DNS)がありますが,東北大学を代表する DNS サーバ (プライマリサーバ)は narugo です。 これを補完するため,obara, izumi, onikobe (セカンダリサーバ) も同じデータを持ち,学内からのアクセスは obara, izumi, narugo が担当しています。各部局(各ドメイン)のデータは,それぞれの部局で サーバを運用するほか,一部について akiu がセカンダリサーバを 分担しています。
 インターネットのブームの中心になっているWWWの情報は httpサーバで提供します。東北大学のホームページは,obaraに 置かれています。 このために,obara には www.tohoku.ac.jp の別名があります。 各部局の情報は,それぞれの部局で運用するサーバから 提供されています。 http利用のためのproxy(代理)サーバもobaraで運用されています。
 ネットワークニュースの中継と配布は,hirose と sakunami で 行なっています。部局で独自にニュースサーバを運用するところもあり, それらのサーバへの中継は sakunami が担当しています。 利用者がネットワークニュースを利用する場合には,hirose を お使い下さい。sakunami は,また,学内で共同でライブラリファイルなどを 共有する NFS のサービスも準備中です。
 ネットワークに接続された機器に 正確な時刻を供給する方式に,ネットワークタイムプロトコル(NTP) があります。TAINS では青葉山の onikobe と片平の izumi が GPS 衛星の 電波を受信して正確な時刻を得,NTP によりSuperTAINS のルータなどに配布し, その時刻情報が基幹ネットワーク(FDDI)とTAINS88 へ流されています。 なお,onikobe は ntp.tohoku.ac.jp, izumi は ntp2.tohoku.ac.jp の別名があります。
 TAINS 利用研究会で新しいネットワーク利用技術の開発を行なって いますが,そのための実験や試験的運用などのためにいくつかの サーバがあります。 AppleTalk グループの ringo や,MS-Network グループの ayanami などがあります。ソフトウエアの配布などを行なう FTP の サービスでは,akiu が有名です。 マルチキャスト通信を使い学会中継や ラジオ・テレビ中継などの放送を行なう,MBone という仕組みがありますが, TAINS では togatta が MBone の中継を行なっています。
 学外から研究室のコンピュータを利用するなどのための PPP 接続は, ターミナルサーバの ts で行なっています。これには,モデムと ISDN から接続できます。また,川渡などの遠隔地にあるキャンパスと 接続するために,ダイアルアップルータ bond が用意されています。

4. おわりに

 TAINS のインターネット接続部分の構成について,紹介しました。
 総合情報システム運用センターでは,専門委員会,TAINS 利用研究会や 学内各位の御協力を得て,ネットワークの効率的運用に努めています。 そのために,ネットワーク構成やサーバの配置を変更することが よくあります。将来は,この記事の内容と異なる状況になっていることが ありますので,御了承をお願いいたします。

[注釈]
*1 この他に研究分野ごとのネットワークがあり, 学内でそれを使っている例もありますが,他部局には影響がないので, 説明を省きます。
*2 NOC = Network Operation Center。ネットワーク接続点のこと。


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