TAINS/Gへの移行
東北大学医学部附属病院医療情報部 佐藤大

1 はじめに
本稿では,SuperTAINSからTAINS/Gへの移行方法について説明します。TAINS/Gのバックボーンは,Gigabit Ethernet (GbE) で構築されています。インハウスネットワークも GbE で直接接続することが可能で,このための1000BASE-LX のポートがルータ (Backbone Router: BR) とスイッチ (BackboneSwitch: BS) に用意されています。また GbE に対応していないルータを接続するための 10/100BASE-T のポートも用意されています。このポートは,BR または BS に接続されたインハウスアダプタ (IA) 装置にあります。これは 1000BASE-LX と 10/100BASE-T (Ether/FastEther) の変換を行う装置です。したがって,TAINS/Gへのサブネットの接続は,1000BASE-LX での接続と10/100BASE-T での接続の二通りが可能です[1]。
インハウスルータをTAINS/Gに GbE で接続する場合には,1000BASE-LX のポートが一つ必要です。1000BASE-SX や 1000BASE-T のポートを使う場合には,メディアコンバータを用意してください。また,BR もしくは BS のある建物からインハウスルータのある建物までの光ファイバ (SM) を確保してください。そして,BR もしくは BS と PD 盤,インハウスルータと PD 盤をそれぞれ接続します。BR または BS と同じ部屋にインハウスルータを設置するなどの場合には,もちろん直接接続で構いません。BR は,青葉山北,青葉山南,川内,片平,星陵の 5 キャンパスに 1 台ずつ配置されています。また BS は青葉山北キャンパスに 3 台,青葉山南と川内の各キャンパスに 1 台ずつ配置されています。
一方 10/100BASE-T で接続する場合には,BR もしくは BS に接続された IA 装置に接続することになります。この場合にはインハウスルータに 10/100BASE-T ポートが一つ必要です。そして,両端が RJ-45 の UTP で,このポートと IA 装置を接続します。IA 装置は,ほぼ建物ごと,全学 77 か所に配置されています。
2 移行にあたっての注意
TAINS/Gのインハウスサブネットでは,SuperTAINSと同じく 130.34.x.x のグローバルアドレス,または 192.168.x.x のプライベートアドレスが使用されます。一方バックボーンではTAINS内のみで有効なプライベートアドレス(192.168.x.x) が使用されます。
また,TAINS/Gではインハウスネットワークのサイズ(サブネットマスク長)を自由に設定できるようになったので,接続するインハウスルータは VLSM(Variable Length Subnet Mask) に対応した RIP2 で経路制御できる機器であることが基本です。
なお,現行インハウスルータが FDDI ループに接続されている場合には,ルータを切り離した後に FDDI ループの組換えが必要になる場合があるので注意してください。移行後に FDDI ループの通信が正常であることを確認するべきです。
現在 FDDI ループに直結されているワークステーションは,TAINS/Gのサブネットに収容することになります。ただしルータを兼ねている場合には,専用ルータと同様にTAINS/Gに移行します。ただしTAINS/Gのバックボーンでプライベートアドレスを使用しているため,通信が制限されます。これが不都合な場合には,別にルータを用意する必要があります。
3 TAINS/Gへの移行の実際
前述のように,TAINS/Gの幹線には,インハウスサブネット接続用の1000BASE-LX のポートが用意されています。また 1000BASE-LX のポートが用意できない部局のために,10/100BASE-T のポートが IA 装置に用意されています。
TAINS/Gへの接続にどちらを使うかは,ルータのスペックや予算などに応じて,自由に選択できます。インハウスルータとSuperTAINS幹線の接続方式と,TAINS/Gへの接続方式ごとに,具体的な切替え作業について説明します。
3.1 FDDI から 10/100BASE-T へ
SuperTAINSに FDDI で接続されたインハウスルータを,TAINS/Gに10/100BASE-T で接続するには次のようにします。
- インハウスルータに 10/100BASE-T のポートを用意する。
既存のポートがない場合は,NIC を増設したり別のルータを用意するなど してください。100BASE-TX や 10BASE-T でも使えます。
- インハウスルータを FDDI ループから切り離す。
切り離した状態では FDDI ループに残った機器の通信に支障が出ます。 必ずループの組み直しを行ってください。また,同一 FDDI ループを使用 している他部局にも,ルータをループから切り離す旨を伝えておく必要があります。
- 最寄りの IA 装置と接続する。
用意したポートと IA 装置の空きポートを,ストレートの UTP ケーブルで接続します。
3.2 FDDI から GbE へ
SuperTAINSに FDDI で接続されたインハウスルータを,TAINS/Gに GbE で接続するには次のようにします。
- インハウスルータに 1000BASE-LX のポートを用意する。
既存のポートがない場合は,NIC を増設したり別のルータを用意するなどしてください。1000BASE-SX や 1000BASE-T のポートがある場合は,メディアコンバータで対応できます。
- インハウスルータを FDDI ループから切り離す。
切り離した状態では FDDI ループに残った機器の通信に支障が出ます。必ずループの組み直しを行ってください。また,同一 FDDI ループを使用している他部局にも,ルータをループから切り離す旨を伝えておく必要があります。
- 最寄りの BR もしくは BS と接続する。
用意したポートと BR もしくは BS の空きポートを,SC コネクタのついた光ファイバで接続します。多くの場合は PD 盤を利用することになるでしょう。
3.3 TPDDI (CDDI) から 10/100BASE-T へ
SuperTAINSの TPDDI コンセントレータに接続されたインハウスルータを,TAINS/Gに 10/100BASE-T で接続するには次のようにします。
- インハウスルータに 10/100BASE-T のポートを用意する。
既存のポートがない場合は,NIC を増設するなどしてください。100BASE-TX や 10BASE-T でも使えます。
- インハウスルータをコンセントレータから切り離す。
TPDDI でコンセントレータに接続されている場合には,そのまま切り離しても FDDI ループの通信に影響は出ません。不要になった TPDDI コンセントレータの撤去については,情報シナジーセンターに相談してください。
- 最寄りの IA 装置と接続する。
用意したポートと IA 装置の空きポートを,ストレートの UTP ケーブルで接続します。
3.4 TPDDI から GbE へ
SuperTAINSの TPDDI コンセントレータに接続されたインハウスルータを,TAINS/Gに GbE で接続するには次のようにします。
- インハウスルータに 1000BASE-LX のポートを用意する。
既存のポートがない場合は,NIC を増設するなどしてください。1000BASE-SX や 1000BASE-T のポートがある場合は,メディアコンバータで対応できます。
- インハウスルータをコンセントレータから切り離す。
TPDDI でコンセントレータに接続されている場合には,そのまま切り離しても FDDI ループの通信に影響は出ません。不要になった TPDDI コンセントレータの撤去については,情報シナジーセンターに相談してください。
- 最寄りの BR もしくは BS と接続する。
用意したポートと BR もしくは BS の空きポートを,SC コネクタのついた光ファイバで接続します。多くの場合は PD 盤を利用することになるでしょう。
3.5 FDDI ループをインハウスの一部として使用している場合
部局の複数の建物を FDDI ループを経由して接続し,その全体を一つのサブネットとしている場合です。この場合には,インハウスサブネットの全面的な組み直しが必要になります。つまり,FDDI ループに依存しない形で新しいサブネットを構築し直し,これをTAINS/Gに接続することになります。
FDDI ルータに収容されていたサブネットをそれぞれ,上記の接続パターンに準じて移行することもできます。
4 TAINS/Gの利用申請
TAINS/Gにサブネットを接続/移行する場合には,接続申請が必要です。申請書はhttp://www.tains.tohoku.ac.jp/documents/connect/ip-application.txtにあります。接続にあたって要求される技術的条件については,http://www.tains.tohoku.ac.jp/documents/center/gijutujoken.txtを参照してください。
5 おわりに
以上TAINS/Gへの移行の方法について解説しましたが,実際に作業を始めるにあたって疑問が生じることもあると思います。サブネットの切替えは近隣の部局に影響を及ぼすことも考えられるので,一つ一つ確認しながら準備するべきです。利用申請や接続の詳細については,情報シナジーセンター・ネットワーク掛(
) と相談しながら進めるようにしてください。
参考文献
[1]
佐伯田鶴,次期TAINSの紹介,TAINSニュース,No.26,pp.5-10,2001. (http://www.tains.tohoku.ac.jp/news/index-j.html)