TAINS/G 移行体験記 ---農学研究科編---

農学研究科 ネットワーク管理室 齋藤信
農学研究科 土壌立地学分野 木村和彦

はじめに

 農学研究科では,2002年9月にTAINS/G に移行しました。本研究科のネットワーク構成は,1台のルータの下にサブネットが3つあるというシンプルなものでしたので,移行作業は簡単なものでした。本稿では,ネットワーク構成とTAINS/G への切替について述べたいと思います。

図1:農学研究科のネットワーク構成

SuperTAINS 時代の構成

 農学研究科では平成8, 9年度にSuperTAINS への移行を行い,その後に若干の拡張を行っています。ネットワーク構成は,図1に示したように,1台のルータ(cisco 7204)と8台のスイッチ(catalyst 2900 シリーズ)により,3つのサブネットagri, bios, biochem を構成するものです。なお,3つのサブネットは,それぞれウェブサーバと情報処理演習室,生物系の分野,および生物化学系の分野をカバーするものであり,VLANで構成してあります。各講座にはスイッチの2ポート程度を割り振ってあり,ハブやスイッチ等を介して機器を接続しています。また,重要な2台のメールサーバにはスイッチの1ポートをそれぞれ割り振りました。配線は,SuperTAINS 工事で配置された光ファイバーやUTPケーブルを主に利用し,一部にTAINS88 の光ファイバーと光リピーターを使用しています。なお,ルータのゲートウェイはFDDIとしました。
 ちなみに,2002年4月の段階で農学研究科内のFDDIループに収容してある機器は,このルータ,メールサーバ1台,その他図書館ネットの機器類でした。また,ATMにはATMルータしか接続されてませんでした。

移行後の構成

 TAINS/G への移行にあたっての基本的な考え方は以下のとおりです。  以上の事情から,移行にはルータのゲートウェイをFDDIによるSuperTAINS から,FastEthernetによるTAINS/G へと変更することにしました。できればGigabitEthernetによる接続としたかったのですが,残念なことに使用しているルータは対応していませんでした。これに要した費用は,FastEthernetポートアダプタが1枚で約50万円,設置手数料,50cmのUTPケーブル代だけでした。物理的には,ルータのFastEthernetポートアダプタのポートとTAINS/G のIA装置のFastEthernetのポートをUTPケーブルで接続するというとても簡単なものです。

移行の実際

 SuperTAINS からTAINS/G への移行にあたって,あらかじめ「TAINS/G 接続申請」,「AppleTalkサブネットの接続」の2つの申請を行い,必要な情報を取得しておきました。また,(IA装置と接続するための)FastEthernetポートアダプタのルータへの増設も完了させておきました。
 移行実施日には,まず,増設したFastEthernetポートアダプタ側のIPアドレスを申請によりあらかじめ割当てられていたものに設定し,ルータのゲートウェイを従来のFDDI側からこちらのFastEthernet側に変更しました。(AppleTalkのIPトネリングもこれに合わせて変更しました。)次に,DNSサーバに関する設定やIPブロードキャスティングに関する設定など,FDDIループに依存しているところを修正しました。最後に,IA装置とこのルータのFastEthernetインターフェイスのポートとを接続して作業は完了しました。作業に要した時間はおおよそ30分程度でした。
 サーバやかなり以前に設置した機器でFDDIループに依存した設定が残ったままのものが幾つかあり,移行直後は小さな不具合が何件か生じました。しかし,いずれも致命的なものではなくすぐに解消できました。全体としては無事に移行できたのではないかと思います。

さようならSuperTAINS

 先に述べたように,FDDIループに接続した機器は,ルータの他,メールサーバ1台,図書館ネットの機器でした。SuperTAINS 廃止のためには,これらの機器も移行しなければなりません。
 メールサーバに関しては,FDDIのほかFastEthernetも装着していたため物理的には問題なく,ユーザーからのアクセスをFDDI側からFastEthernet側に切り替える旨アナウンスするだけで済みました。実は,ユーザーにはFastEthernet側へのアクセスを数年前から指示しており,その点でも混乱が少なくなったようです。
 図書館ネットの機器に関しては,もともとTAINSG への切替を予定していたとのことでした。そこで,できるだけ急ぐように図書館にお願いし,前倒しで切替をして頂いて,6月の段階で移行は完了しておりました。
 このようにしてSuperTAINS からTAINS/G へ完全に切り替える準備を整えて,SuperTAINS からTAINS/G に切り替えた後はSuperTAINS は電源を落としました。これで農学研究科のSuperTAINS は役割を終えました。さようなら,そしてありがとうSuperTAINS 。

おわりに

 農学研究科では,約1000台の端末がたった1台のルータを介してネットワークに接続されています。現在のところスループットの低下は無いようですが,オンラインジャーナルの利用や文書ファイルあるいは大容量のデータファイルをやり取りする機会が確実に増えつつあり,将来のトラフィック増加に対応してルータをより高速なものに更新するか,あるいは全く新しい構成(例えばLayer 3のスイッチの利用)を考える必要があると考えています。そのあたりの情報をTAINS ニュースに期待します。