「ケーブル」から見た SuperTAINS
総合情報システム運用センター 運用係 千葉 実
chiba@tains.tohoku.ac.jp
SuperTAINS の情報を運んでいるのは,ご存じのように,
太さ 9.5〜62.5 マイクロメートルのコア,それを囲む125マイクロメートルの
クラッドと呼ばれる細いガラス線,即ち,光ファイバと,
8本の銅線をよじったUTP-5 (*1) ケーブルです。
実際の工事にあたっては,光ファイバについては覆い(被覆)を被せ,
それを複数束にして更に被覆をかぶせたもの,即ち,光ケーブルが用いられ,
UTP ケーブルについては,必要に応じて本数をまとめた多対ケーブルを敷設しています。
本文では,SuperTAINS を,使われている光ケーブルと
UTP-5 ケーブルという「ケーブル」の面から解説してゆきます。
SuperTAINS のケーブル敷設は大きく,キャンパス間・キャンパス内 (建物間)
・建物内に分けられます。
それぞれ,
キャンパス間……キャンパス間の通信を運ぶ
キャンパス内……キャンパス内の SuperTAINS の機器と各部局の建物間の通信を運ぶ
建物内……………インハウスネットワーク。建物内の通信を運ぶ
の目的があります。
それぞれについて説明します。
<キャンパス間>
北青葉山キャンパス,南青葉山キャンパス,川内キャンパス,片平キャンパス,
星陵キャンパスの間はそれぞれ
10芯のシングルモードの光ファイバが敷設されています。
一つのキャンパスからは40芯のファイバが他のキャンパスに向けて
延びていることになります。
現在,これらの10芯のうち6芯までを SuperTAINS などで使用しています。
また,これらのファイバは PD 盤 (Premise Distribution Cabinet) と呼ばれる
光の成端箱に納められますが,特に,キャンパス間のファイバを成端するものを,
大 PD 盤と呼んでいます。
また,永年の念願であった雨宮キャンパスへのファイバ敷設も現実のものとな
り,シングルモード光ファイバ (SM) 16芯を敷設しました。
SuperTAINS での使用は ATM (OC-3x2 〜 OC-12) で,
ATM スイッチ間の通信に用いられています。
以下に各キャンパス間の敷設芯数と,未使用芯数 (括弧内) の対応表を示します。
┌──┬───┬───┬───┬───┬────┬────┐
| │ 北青 │ 南青 │ 川内 │ 片平 │ 星陵 │ 雨宮 |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
│北青│ __ |SM-10 │SM-10 │SM-10 │ SM-10 │ __ |
│ │ |(SM-8)│(SM-8)│(SM-8)│ (SM-8) │ |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
|南青|SM-10 │ __ │SM-10 │SM-10 │ SM-10 │ __ |
| |(SM-8)│ |(SM-4)│(SM-6)│ (SM-6) │ |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
|川内│SM-10 │SM-10 │ __ │SM-10 │ SM-10 │ __ |
| |(SM-8)│(SM-4)│ |(SM-4)│ (SM-4) │ |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
│片平|SM-10 │SM-10 │SM-10 │ __ │ SM-10 │ __ |
| │(SM-8)│(SM-6)│(SM-4)│ | (SM-4) │ |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
│星陵|SM-10 │SM-10 │SM-10 │SM-10 │ __ │ SM-16 |
| │(SM-8)│(SM-6)│(SM-4)│(SM-4)│ |(SM-12) |
├──┼───┼───┼───┼───┼────┼────┤
│雨宮│ __ │ __ │ __ │ __ | SM-16 │ __ |
| | | | | |(SM-12) │ |
└──┴───┴───┴───┴───┴────┴────┘
SM:シングルモード光ファイバ

図-1: キャンパス間の接続
表-1: 大PD設置場所一覧
──────────┬───────────────
北青葉山キャンパス │総合情報システム運用センター
│(大型計算機センター内)
│理学部管理棟
──────────┼───────────────
南青葉山キャンパス │電気情報系
│機械知能系
──────────┼───────────────
川内キャンパス │情報処理教育センター
──────────┼───────────────
片平キャンパス │情報科学片平第2分室
──────────┼───────────────
星陵キャンパス │第1臨床研究棟
──────────┼───────────────
雨宮キャンパス │農学部講義棟
──────────┴───────────────
写真-1: 大 PD
<キャンパス内> - 建物間 -
各キャンパス内の 1〜2 箇所 (表-1) に設置している ATM ルータや ATM ハブから,
マルチモード光ファイバ (GI) 16芯とシングルモード光ファイバ8芯の計24芯の
複合光ファイバケーブルを,各建物に向けて敷設しています。
余談ですが,マルチモードの光ファイバ「MM」を「GI」と一般的に
呼ぶようになった訳は,マルチモードファイバは,特性により
「SI型」と「GI型」の 2種類に分類され,
一般的に「GI型」を使用するケースが多いためだと思われます。
(SuperTAINS は平成7年に完成した1期分と,平成8年に完成した2期分があり,
1期分の建物が多少幹線に近い所であったため,
シングルとマルチの比率が逆転しており,1期分で各建物に引き込んだ光ファイバは,
シングルモード16芯,マルチモード8芯の計24芯です)
この光ファイバは,建物内の中PD盤で成端されています。

図-2: キャンパス内の接続
写真-2: 中PD盤
<建物内> - インハウスネットワーク -
建物内には SuperTAINS として,光ファイバと UTP ケーブルを敷設しています。
キャンパスの各拠点から引き込まれ,中 PD 盤で成端されたファイバは,
さらに,建物内を広くカバーできる場所に配置された小 PD 盤へと延ばされています。
この中 PD 盤と小 PD 盤の間にはキャンパス内に用いられるファイバと
同様のマルチモード光ファイバ16芯,シングルモード光ファイバ8芯の計
24芯の複合ケーブルが敷設されています。
光ファイバは,この小 PD 盤までです。
ここから研究室の最寄りまでは,UTP-5 と一般に呼ばれている金属製のケーブルを
敷設しています。この UTP-5 の両端は MJ (モジュラーコンセント) という
RJ-45 (UTP で用いるコネクタの規格) のメスコネクタの集合体で成端されてます。
研究室の近くでは,比較的安価に導入できるネットワークインター
フェースカード (NIC) 等を考慮して,この UTP-5 を採用しました。
また,この UTP-5 は,電話から ATM まで,
ほとんどの通信方式に対応することが可能です。
以上,幹線から順に研究室の最寄までの配線の流れについて,説明
いたしましたが,詳しくは総合情報システム運用センター / 運用係
(tains@tains.tohoku.ac.jp) までご相談下さい。

図-3: 建物内の接続
写真-3: 小PD
写真-4: MJ(大)
写真-5: MJ(小)
[注釈]
*1
UTP-5 : UTP(Unshielded Twisted-Pair Cable)ケーブルのCAT-5 規格
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