学内WWWあんなページこんなページ 第5回
東北大学大学院農学研究科 生物制御機能学研究室 (昆虫学研究室)
ホームページ
農学研究科環境修復生物工学専攻環境生物機能学講座 玉木佳男
ytamaki@bios.tohoku.ac.jp
1 わかりにくい名前には説明が必要です
東北大学の大学院,農学研究科に「環境修復生物工学専攻」が新設されたのは
3年前の平成7年4月のことでした。この専攻の「環境生物機能学」という
大講座のなかに「生物制御機能学」という分野ができたのですが,
この名前をみてその内容が理解できる人は多分いないでしょう。
この研究室を正式にいうと「東北大学大学院農学研究科環境修復生物工学専攻
環境生物機能学講座生物制御機能学研究室」となりますが,わたし自身も
3年たったというのに,このフルネームがスムースには口にだせないという
ありさまです。
この生物制御機能学研究室は,いったいなにをやるところなのか? ... という
ことを説明する必要を痛感したのが,このホームページをつくるきっかけでした。
2 まずは研究室の紹介から
図 1 のホームページのトップページをご覧いただくとわかるように,
この研究室は昆虫学に関わる教育・研究分野を担当しています。
研究室の簡単な歴史,研究のねらい,おもな研究対象としている昆虫の行動と
その行動の制御についての研究,これらの研究の意味,なぜこうした研究が大切なのか,
わたしたちの生活とどこでかかわりが出てくるのか,そしてこうした研究をしている
スタッフや学生などについて,できるだけわかり易く簡潔にまとめてみました。
こうした研究室の紹介は,あまり詳しくても見るひとには冗長に感じられることと
なり,かといってあまり簡単では不親切になり,意外と難しいものであることを認識
させられました。

図 1: 「生物制御機能学研究室」のホームページのトップページ
(http://www.bios.tohoku.ac.jp/insect/)
3 お客様は社会人,学生さん,虫が好きな人
ホームページに訪問していただくお客様としてどのような人々を想定しているかと
いえば,まず第一に一般社会の方々です。インターネットを覗くことができる人に
限るという制限があることは残念ですが,制限つきではあるものの
着実に一般のお客様の数は増えつつあると思われます。ホームページを見て
意見を寄せて下さるかたのなかにも,ごく一般の方から昆虫についての
いろいろな問い合わせが見受けられます。
若い学生さんは,インターネットとのつきあいも当たり前になっているようですが,
一人でも多くの中学生や高校生に訪問していただき,こうした若い世代の方々が
将来の進路を考えるときの多少の参考にでもなれば大変嬉しいことだと思ってます。
また,虫の好きな人,とくに昆虫マニアは意外と多いようですが,
こうした人たちには昆虫写真を収録してないために,あまり興味ないかもしれません。
ただ,後述の行動制御物質のデータベースは,それなりに興味をもってくれる方々が
いるようです。
昆虫に興味を示す人のためには,このホームページを手がかりとしていろいろな
関連分野のホームページへ飛んでいくことができるように,リンクのためのリストを
作ってます。制作者の独断と偏見によるリストですが,将来的にはこうしたリストを
充実することもまた必要だろうと思われます。
4 情報は受け取るだけではなくて発信を
インターネットが一般化し,ネット上の情報量も飛躍的に増えるに従って,
インターネットの検索は有効な情報収集の手段となってきました。世界のいろいろな
情報をいながらにして眺められること,そして瞬時に相互のコミュニケーションが
可能であることは,ひと昔前には想像もできなかったことです。このホームページにも
外国のマスコミ関係からの特殊な問題についての問い合わせなどが入ることもあります。
インターネットで情報を受け取ることの恩恵はこれからも大きくなるでしょう。
そして,よくいわれることですが,情報は受け取るだけではなく,発信することが
大切です。それぞれのホームページのオリジナリティーは,そのホームページが
どのような情報を発信しているかによって評価されることになるのでしょう。
こうした考えにたつと,このホームページが果たして公表されるに値する価値が
あるのかどうか,自信のほどは心許ない限りですが,多少とも特徴を持たせるという
意味では,以下に述べる昆虫の行動制御化学物質の情報が,それなりの役割を
もっているかもしれません。
5 虫たちと匂いのデータベース
これはデータベースというほどの大げさなものではなく,正直にいうと一覧表
あるいはリストというべきものかもしれません。しかし,その名称は
「昆虫行動制御天然物質データベース (Tamaki's Database of Insect Behavior
Regulators in Natural Ecosystems)」と大上段にふりかぶってます。
それは,将来的に本物のデータベースに進化するという期待をこめているわけです。

図 2: 「昆虫行動制御天然物質データベース」への導入ページ
(http://www.bios.tohoku.ac.jp/insect/ibrdb/index_e.html)
基本的なデータは図 2 の導入ページに説明のあるとおり,
昆虫の学名,英名,和名,行動制御物質のグループ名,物質の放出者と受容者,
構成成分物質名リスト,発表研究者名,文献タイトル,掲載誌名・巻・ページ,
データベース制作者による内容説明とコメント,です。データの掲載はダニと昆虫を
分類上の目・科・属・種ごとにアルファベット順に整理してあり,
別表におもな化合物リストを掲げて,このリストからそれぞれの化合物の構造式が
参照できるようにしてあります。
現在,データの蓄積は継続中ですが,化合物ごとにその化合物を利用している昆虫
(ダニ)の種名を表示することもできるように改良をしつつあります。
対象とした化合物は,あくまでも自然生態系の条件下でそれぞれの昆虫(ダニ)が
利用している天然の化合物です。したがって,人間が膨大な合成化合物を用いて
スクリーニングすることによって発見した化合物は対象外です。
おわかりのとおり,この部分はかなり専門的で,ホームページのその他の部分から
浮き上がっている感がなきにしもあらずです。その利用価値を認める人は
限られるかもしれませんが,これもこのホームページのオリジナリティーといえる
部分でしょう。
6 虫たちの生きる世界
よほどの変人か,虫のマニアか,虫を相手に研究している人でないかぎり,
普通の人の大部分は虫には良い印象をもっていないようです。それは,虫は害虫であり,
気持ちが悪いものであるという先入観によるものでしょう。とくにご婦人がたに
この傾向がどうも強いようです。
害虫としての昆虫はたしかに有名ですが,それは虫全体のほんの一部に
すぎないわけで,大部分は害虫ではなく,むしろ生態系のなかで大変重要な役割を
担っているといえます。簡単にいうと,かれら虫たちは自然の物質循環を支える
生きものたちの重要な一翼を担っているのです。こうしたことは都会の生活に
埋没していると全く気がつきません。

図 3: 「里山と雑木林の生きものたち」のホームページのトップページ
(http://www02.u-page.so-net.ne.jp/ta2/ytamaki/)
いまではもはや忘れられつつある里山と雑木林を中心とした生きものたちのはなし,
「里山と雑木林の生きものたち」(里山環境生物学研究所)というこのホームページは,
前項のTamaki's IBR/NE Databaseのmirror siteにもなってます。これは制作者の
全く個人的なホームページで,そのおもな内容は図 3 のトップページのような
ものです。里山と雑木林を中心とした環境で,虫を含めた生きものたちとヒトとの
共生の彼方には,多くの学ぶべきものがあるように思われます。このおまけの
ホームページは,難しい研究や勉強の肩こりを癒すつもりで覗いていただければ
幸いです。
www-admin@tohoku.ac.jp
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