外部メールサービスの運用開始について

情報部情報基盤課ネットワーク係 澤田勝己
情報部情報基盤課ネットワーク係 森倫子
サイバーサイエンスセンター 水木敬明

1 はじめに

 本稿では,サイバーサイエンスセンターとの協力のもと,情報シナジー機構が2010 年12 月にサービス提供を開始した「外部メールサービス」(以下「外部メール」と呼びます。)についてご紹介します。この外部メールは,学術機関向けに無償で提供されているヤフー株式会社の「Yahoo!メールAcademic Edition」(以下「Yahoo!メール」と呼びます。)及びグーグル株式会社の「Google Apps Education Edition」(以下「Gmail」と呼びます。)を利用して,希望する本学のいわゆる構成員等にメールアドレス

xxx@y-mail.tohoku-university.jp やxxx@g-mail.tohoku-university.jp

を提供します(xxx の部分は先願主義により任意に選択可能)。
 以下本稿の構成は次の通りです。まず2 節において導入の背景を述べます。次に3 節において,外部メールにおける主な登場人物である外部メールサービス管理者(以下「管理者」と呼びます。)や外部メールサービス利用者(以下「利用者」と呼びます。)等について説明します。4 節において,利用者が外部メールの利用を開始できるまでの手順について説明します。5 節において,メーラー(メールクライアント)やウェブメールを利用するためのサービス仕様や設定情報について述べます。最後に6 節において,いくつかの注意点を述べます。

2 導入の背景

 本号記事[1] にも記載していますが,この外部メールは,平成21 年度補正予算による「ユビキタスネットワークシステム」の一環として導入されました。補正予算によるシステムの調達にあたっては,導入後の運用経費が課題になるため,持続可能性を追求し,学外の無償サービスを効果的に活用することを検討し,また次世代の情報システムのあり方を検討する材料となる実証実験的取り組みの一つとして,Yahoo!メール及びGmail と連携する簡易なシステムを構築しました。すなわち,学内に置かれているシステムは,メールアドレスの作成や利用者情報の更新等を行うインターフェースとしての役目だけを持ち,メールサービス自体の機能は外部のYahoo!メールとGmail に依存しており,学内システムと(ほぼ)完全に切り離されています(*1)
 この外部メールは,希望者のみを対象とした補助的・補完的なものであり,本学の教職員や学生に利用を強制するものではありません。ご存知のように,情報シナジー機構では,教職員向けのメールサービスとして,m.tohoku.ac.jp のドメイン名で運用する「TAINS メールサービス」(以下「TAINS メール」と呼びます。)を既に提供しています[2]。また,他にも,情報部情報推進課が運用する事務用メールシステム(bureau.tohoku.ac.jp) や,教育情報基盤センターが運用する学生用電子メールサービス(s.tohoku.ac.jp) があります。これら学内の既存のメールサービスの利用資格を有さない本学構成員や関係者等が,外部メールの利用者の有力な候補となるのではないかと想定しています。もちろん,既存のサービスにおいてメールアドレスを持っている方も,実験的に使ってみたい,あるいはいわゆるセカンドメールアドレスを持ちたい場合等に,本サービスを活用することができると思います。

3 外部メールにおける登場人物

 まず,外部メールの利用イメージを図1 に示します。この図にありますように,外部メールにおける主な登場人物は,「利用者」,「管理者」及び「部局技術担当者」です。ごく簡単に言いますと,実際にxxx@y-mail.tohoku-university.jp やxxx@g-mail.tohoku-university.jp のメールアドレスを得てメールサービスを利用するのが“利用者” です。“管理者” は,利用者のアドレス作成等の管理を行います。“部局技術担当者” は,部局の教職員を管理者に登録する依頼作業を担当します。

図1: 外部メールの利用イメージ


 以降本節では,各登場人物の役割等についてもう少し詳しく説明します。

3.1 管理者

 有効な東北大ID を持つ教職員が管理者となり,その管理者が利用者アカウントの登録・管理を行う運用形態をとります。例えば,教員が管理者となり,研究室の学振特別研究員や研修生,あるいはPOP を使いたい学生の利用者アカウントの登録・管理を行います。
 教職員が管理者になるには,所属する部局の部局技術担当者を通して,管理者への登録を情報シナジー機構(情報部情報基盤課ネットワーク係)に申請する必要があります(図1 の ② )。
 管理者になった教職員は,自身の東北大ID でTAINS 申請システムにログインすることにより,以下の操作を行うことができます(図1 の⑤ )。
 また,管理者は,本サービスの利用に関する利用者からの問い合わせ窓口となります。
 管理者の条件やマニュアル等を含め,より詳しい情報は学内向けTAINS のウェブページ[3] から外部メールのページへアクセスし,ご覧下さい。

3.2 利用者

 上述のように,自身による責任のもと,管理者が利用者の登録を行います。利用者の対象となるのは,教職員,役員,学生等の本学構成員,ならびに各種研究員,同窓生等の本学関係者です。したがって,TAINS メールのように,利用者自身がメールアドレスを直接取得することはできません。管理者に依頼して,外部メールの利用を開始するための準備をしてもらう必要があります。より詳しい手順を4 節で説明します。

3.3 部局技術担当者

 部局技術担当者とは,「国立大学法人東北大学における情報システムの運用及び管理に関する規程」の第11条に示されている方です。教職員が管理者になるには,部局技術担当者を通して申請することになります。部局技術担当者は,TAINS ウェブページ[3] にある申請書に必要事項を記載し,申請書をメールにより指定されたアドレスへお送り下さい(図1 の③ )。部局技術担当者の皆様にはお手数をおかけしますが,どうぞよろしくお願い致します。


4 利用者が外部メールの利用を開始できるまで

 利用者が,メールアドレスを取得・利用するまでの手順は以下のとおりです。
  1. 最寄りの管理者に以下の内容を伝えます(図1 の① )。
  2. 管理者から利用設定URL を受け取ります(図1 の⑥ )。
  3. ウェブブラウザで利用設定URL に接続します(図1 の⑦ )。
  4. 利用設定マニュアル(*3)を参考に利用設定を行います(図1 の⑦ ,⑧ )(*4)
  5. ウェブメール,あるいはメーラーを設定して,外部メールを利用します(図1 の⑧ )。

5 外部メールの仕様

 本節では,以下の項目ごとに外部メールの仕様について記載します。より詳しい情報や最新の情報については,Yahoo!メール及びGmail の各ウェブサイトをご覧下さい。

5.1 メールアドレス

 取得できるメールアドレスの形式について,Yahoo!メールは「xxx@y-mail.tohoku-university.jp」,Gmail は「xxx@g-mail.tohoku-university.jp」です。xxx の部分は(規定の文字種・数であれば)任意に指定することができます。ただし,希望するアドレスがすでに取得されている場合,そのアドレスは取得できません。また,Yahoo!メールとGmail で同じローカル部(@ の前の文字列)を取得することはできません。

5.2 ユーザ認証情報

 メーラーやウェブメールにおいて,ユーザを認証するための情報を表1 に示します。

項目Yahoo!メールGmail
ID
(メーラー)
メールアドレス
もしくはYahoo! Japan ID
メールアドレス
ID
(ウェブメール)
メールアドレス
もしくはYahoo! Japan ID
メールアドレスの@ の前
パスワードYahoo! のサイトで設定したパスワードGmail のサイトで設定したパスワード

表1: ユーザ認証情報

5.3 メールサーバ

 メーラーを設定するための情報を表2 に示します(2011 年4 月現在)。


表2: 送受信設定情報


5.4 ウェブメール

 ウェブブラウザから以下のURL に接続して,ウェブメールを利用することができます。ウェブメールはHTTPS (SSL) によって暗号化されています。

5.5 メール以外の機能

 メール以外にも以下の機能が利用できます。ただし,利用にあたっては利用者及び管理者が全ての責任を負い,技術的サポートについても自己負担での対応をお願いします(情報シナジー機構はサポートしません)。

Yahoo!メール: Gmail:

6 利用にあたっての注意点

 本節では,外部メールを利用するにあたっての,いくつかの注意点を示します。

6.1 管理者の引き継ぎ

 ここまで説明してきましたように,外部メールでは,管理者が利用者のアカウントの管理を行います。したがって,管理者が学外へ異動する等により不在なる場合には,事前に他の管理者を探して,管理下のアカウントの引き継ぎを行うようにして下さい。この作業は,東北大ID でTAINS 申請システムにログインすることより,行うことができます。
 もし引き継ぎを行うことなく,管理者の東北大ID が無効になり,管理者が不在になってしまった場合,管理下の利用者のアカウントは削除されることがありますので,ご注意下さい。

6.2 学外で運用されているサーバ

 冒頭でも述べましたように,外部メールは,ヤフー株式会社及びグーグル株式会社のサービスを利用しています。利用者及び管理者は,外部メールが物理的にも論理的にも学外に設置されたサーバによって,ヤフー及びグーグルが提供しているものであることを十分に理解し,関係する本学の規程や細則等あるいは法令等に十分な注意を払うようお願いします。特に,利用者のデータは,国内外に設置されたサーバで処理・保存されることにご留意下さい。例えば,要機密情報を扱う場合には,その情報に対して指定されている格付け及び取扱制限(*5)を確認し,それに従わなければなりません(なお,これは外部メールに限った話ではなく,TAINS メールであろうと,部局管理のメールサーバであろうと,格付け及び取扱制限に従わなければならないのは同じです)。
 利用者は,本学が定める利用指針等だけでなく,ヤフーの利用規約・利用約款,あるいはグーグルの利用規約・契約を遵守しなければなりません。これらの規約等については,TAINS ウェブページ[3] の「外部メール」のページからもリンクしていますので,十分にご確認下さい。
 なお,ヤフーは,Yahoo!メールのサーバが国内に設置してあることを明示しています。


7 最後に

 本稿では,外部メールの概要を述べました。より詳細な情報は,学内向けのTAINS ウェブページ[3] で掲載していますので,リンクをたどり,どうぞご覧下さい。

参考文献

[1]水木敬明, 曽根秀昭, “ユビキタスネットワークシステムの導入について,” TAINS ニュース, No.39,pp.6–9, 2011.(http://www.tains.tohoku.ac.jp/news/news-39/0609.html)
[2]澤田勝己, 森倫子, 水木敬明, “TAINS の新しいメールサービスについて,” TAINS ニュース, No.38,pp.5–10, 2010. ((http://www.tains.tohoku.ac.jp/news/news-38/0510.html)
[3]学内向けTAINS ウェブページ, (https://www2.tains.tohoku.ac.jp/)

(*1)現在のところ,用いているドメイン名のDNS ゾーンは,学内のサーバで管理運用されています。
(*2)詳細はTAINS ウェブページ[3] をご覧下さい。
(*3)マニュアルもTAINS ウェブページ[3] にあります。
(*4)Yahoo!メールの場合,「Yahoo! JAPAN ID」を取得することになります(この際,郵便番号,性別,生年月日等の入力が求められます)。また,すでにお持ちのYahoo! JAPAN ID を使うことにしてそのID と結び付けることもできます。
(*5)「国立大学法人東北大学における情報の格付け及び取扱制限に関する細則」により,情報を作成または取得した本学の職員等が,格付けや取扱制限を指定することになっています。